出勤しました。何者かに背後から狙われているかのように不安な一日であった。
コドモなのに月曜日なので会社に行ってみましたが、緊張感でコワかった。オトナの社会は不安と恐怖でいっぱいですね。テロなんかの影響も出てくるのでしょうか。
おいらのようなコドモにはテロとか憲法とか南シナ海とかは「関係ないことでちゅぞ」と言いたいのでちゅが、そういうわけにもいかないらしいんでちゅ。
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戦国の時代、魯の国に漆室(しっしつ)という城があり、その城に住むある女、
過時未適人。
時を過ぎていまだ人に適(ゆ)かず。
もういい年なのだがまだ嫁に行けないでいた。
このときは穆侯の時代で、侯はすでに老いていたがまだ世子は幼く、魯の前途は危ぶまれていた。
ある日、
女、倚柱而嘯。
女、柱に倚りて嘯く。
その女、柱によりかかって、口笛を吹いていた。
隣の家のおくさんがこれを聴いて、言った。
何嘯之悲。子欲嫁耶。
何ぞ嘯くことの悲しき。子、嫁せんと欲するか。
「どうしてそんなにつらそうに口笛を吹くんだい? あんた、早くお嫁に行きたいのかね?」
女はかぶりを振った。
吾豈為不嫁而悲哉。吾憂魯君老而太子幼也。
吾あに嫁せざるがために悲しまんや。吾は魯の君老いて太子幼きを憂うるなり。
「あたしがどうして嫁に行けないからといってつらいもんかね。あたしは、魯の王さまがお年寄りで、それなのに太子さまがまだ幼いから、そのことが心配なんだよ」
「あれまあ」
隣のおくさん、笑って言った、
此魯大夫之憂、婦人何与。
これ魯の大夫の憂いなり、婦人何ぞ与からん。
「それは魯の大臣がたがお悩みになることだよ。あたしたちのようなオンナコドモにゃ関係の無いことさね」
女はまたかぶりを振って、言った、
昔晋客舎吾家、繋馬園中。馬佚馳走践吾葵、使我終歳不食葵。
むかし、晋の客の吾が家に舎(やど)り、馬を園中に繋ぐ。馬佚して馳せ走りて吾が葵を践み、我をして終歳葵を食わざらしむ。
「むかし、うちに晋の国からの旅人がお泊りになったことがあった。お客のお馬を庭に繋いでおいたところ、綱が切れてお馬が走り回り、うちの畑の野菜を踏みつけたので、あたしはその年は一年中野菜を食べることができなかった」
はあ。
隣女奔随人亡、其家倩吾兄、行追之。
隣女奔りて人に随いて亡(に)ぐるに、その家、吾が兄を倩(やと)いて行きてこれを追わしむ。
「向こうの隣の家のムスメが男と駆け落ちしたとき、あの家ではうちの兄ちゃんにお金を払って、二人の行方を追いかけさせた。
ところが、
逢霖水出溺死、令吾終身無兄。
霖水(りんすい)の出づるに逢いて、溺死し、吾をして終身兄を無からしめたり。
ちょうど長雨で洪水が出て、兄ちゃんは川にはまって溺れ死んでしまい、あたしには兄ちゃんが無くなってしまったんだ」
そうなんですか。要するにこの二例は、当初関係の無さそうなことでも、巡り巡って自分に関わってくることがあるものだ、ということであろう。
吾聞河潤九里、漸洳三百歩。
吾聞く、河は九里を潤おせば、漸洳(ぜんじょ)たること三百歩なり、と。
「あたしはこう聞いた。
両側の土地(の田んぼ)を九里(4キロぐらい)まで潤すぐらいの川であれば、川の流れの外側三百歩(約500メートル)は湿地である。
と」
川の影響を受けているのは目に見えている部分だけではない、というのである。
夫魯国有患、君臣父子皆被其辱、禍及衆庶。婦人独安所逃乎。
それ、魯国に患有らば、君臣父子みなその辱めをこうむり、禍は衆庶に及ぶ。婦人ひとり安んじて逃るるところあらんや。
「ああ、魯の国に悪い事件が起こったら、王さまも大臣がたもそのお父上やお子さまたちも、みなその屈辱の被害を受け、不幸は人民たちにも影響するだろう。あたしたちオンナだけが安らかに逃れていることはできないんだ」
果たして三年後、魯に跡目相続を契機に内乱が起こり、これに乗じて斉と楚が攻め入って、オトコはみな戦士に駆り出され、女たちも生産と補給に従事することになり、休息することさえできなくなったのである。
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漢・劉向「古列女伝」より(「蒙求」巻中所収)。「漆室憂葵」(漆室の(女が)野菜の心配をする)というお話でございます。
なので政治はオンナコドモにも影響するんでちゅ。おやつとかもらえなくなるのかな。