平成27年4月27日(月)  目次へ  前回に戻る

「てるてるネコとは不条理にゃあ」

土日はこんなところに行って楽しく過ごしてまいりました。うっしっし。

さて、平日になって帰宅して、今週も会社に行く気にならず。HPの更新でもしようか・・・と思ってPCを動かしてみて、驚いた。誰かがおいらが居なかった土日の間に更新していたようです。なんと不条理なことであろうか。

・・・・・・・・・・・・・・

五代のころのことらしいんですが、惟靖和尚という僧がおられました。浙江・呉門のひとであったという。

三十過ぎてから出家したひとなのだそうですが、天台山で修行していたときのこと。

ある晩、山中のお寺に泊まることにした。このお寺、たいへん荒れ果てていて、長いこと住職などいなかったと見えた。

「しばらくここに滞在させていただくか・・・」

と思いながら眠って、朝になりました。

晨粥而多虎豹随。到寺門虎蹲地若伺候。

晨粥するに、虎豹の随う多く、寺門に到るに虎地に蹲まりて伺候するがごとし。

村に出て朝ごはんを乞おうとしたところ、トラやヒョウが寺のまわりにたくさんいて、ついてくる。寺の門に戻ってくると、門のところには一頭のトラが、まるで惟靖を待っているかのようにうずくまっていた。

寺のまわりは

巨迹極多。

巨迹きわめて多し。

大きなトラの足跡だらけである。

「人食いドラのお寺だと思われたらまずいぞ」

惟靖は

以鋤滅虎迹。

鋤を以て虎の迹を滅す。

スキを持ち出して、トラの足跡を消した。

それが毎朝の日課になった。

このころ、寺には惟靖一人しか住んでいなかったが、昼も夜もトラ・ヒョウが門番と見回りをしてくれるので、強盗も空き巣も近寄れないのであった。

また、山中のお寺であり、

虞冰雪、備粳粒半斗。毎日以銚合菜煮食。

冰雪を虞(おそ)れて粳粒半斗を備う。日ごとに銚を以て菜と合して煮て食らえり。

雪にふりこめられると出かけられなくなるので、コメを半斗(9リットルぐらい)だけ備蓄していた。毎日、金属の椀で取って、野菜類と混ぜて煮て食っていた。

しかるに、

置粳于地竇中。過期用米、常満不耗。

粳を地竇中に置く。期を過ぎて米を用うるに、常に満ちて耗せず。

コメは地面に穴を掘ってそこにしまっていたが、雪の季節が終わってからこのコメを使っても、いつの間にかまた穴いっぱいになっていて、減るということが無いのであった。

惟靖和尚はいつもこのコメを搗きながら、

吾被此物、知非理也。

吾、この物を被る、理にあらざるを知れり。

「わしなんかがこんなモノをいただくなんて、不条理なことだとわかっているのだがなあ」

と言っていた。

和尚は七十余歳を以て示寂(←高僧が亡くなること)した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

元・無名氏「神僧伝」巻九より。

食っても食ってもコメが減らない、と同じぐらい不条理なことですよ、おいらがいない間にHPが更新されている、なんて。いったい誰が? もしかして、おいらの影・・・かも?

 

表紙へ 次へ