平成26年7月2日(水)  目次へ  前回に戻る

←囚われたるぶた人間。

やっと水曜日。まだ明日も平日。これでは囚われているのと同じだ。ぶうぶう。・・・と、今日は庄屋で同僚とぶうぶう言ってきた。

※なお、岡本全勝先生の御示教もあり、昨日の「歴世神仙体道通鑑」の解説を書きなおしました。

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清の時代のおはなし。

四川の毛振喧が河間県の副知事に赴任していたときに聞いたことだ、として教えてくれたのであるが・・・

有人夜行、遇一人、状似里胥、鎖縶一囚、坐樹下。

人、夜行するに一人の、状は里胥に似て、一囚を鎖縶(さちゅう)して樹下に坐す有り。

あるひとが所用あって夜行していたところ、樹下に坐しているひとに出会った。このひとは村の長を勤めているような風情で、囚人を一人、鎖でつないで連れていた。

「鎖縶」(さちゅう)の「縶」は「つなぐ」。

囚人は何やら啜り泣いているのだが、村長らしきひとはそれを叱りつけ、時には憎々しげに鞭で打ったりしている。

此人、意不忍、従旁勧止。

このひと、意忍びず、旁(かたわ)らより勧止す。

そのひとはやるせなく思い、村長らしきひとに側から止めてやるように言ってみた。

すると、村長は言う、

「なんですか、あんたは。

此桀黠之魁、生平所播弄傾軋者、不啻数百。冥司判七世受豕身。

これ桀黠(けつきつ)の魁(かい)にして、生平に播弄し傾軋する者、ただに数百のみならず。冥司判じて七世豕身を受く。

この囚人は狡賢い一味の親玉で、これまでこいつらの仕業で家を傾け人生を壊された者は、数百人では数え切れない、という悪党じゃ。あの世の裁判で「七回生まれ変わってずっとブタになる」の判決が下された。

そこでわしが第一回の生まれ変わりのところに連行しているところなのじゃ。

君何憫焉。

君、何か憫(あわ)れまん。

あんたは何でこんなやつをかわいそうに思うのか。

・・・もしかして、あんたも同類なのかな?」

村長はぎろりと睨んだ。

村長にぎろりと睨まれて、このひと、

「い、いや・・・」

と立ち上がりその場を離れようとした・・・その時、

二鬼亦一時滅迹。

二鬼また一時に滅迹す。

村長と囚人、二人の霊魂は、同時に「すうーー」と消えてしまった。

あとには樹木の葉をざわざわと騒がせる生あたたかい風が吹くばかりであった、という。

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清・紀暁嵐「閲微草堂筆記」巻二より。

ブタちゃんはかわいく見えても、前世では悪いことをしているのかも知れませんよ。ところでわたしは現在何回目の生まれ変わりなのだろうか。ぶうぶう。そして

あなたは?

 

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