昨日はアレがありましたのでな、ちょっと更新できませんでしたのですよ、ふは、ふははは。
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1月21日に続き、チャイナ料理第三段。今日は鼈(すっぽん)料理です。
この料理法は江淮(長江下流部から淮水にかけての地域)のお寺で用いられるものだそうです。
まずは釜に水を汲み、下から熱します。
釜水微温、置鼈於内。
釜水微かに温ならば、鼈を内に置く。
カマの水が少しぬるんできたな、という頃合いに、スッポンを何匹か、その中に入れます。
スッポンはのろのろと湯の中を泳いでいる。
その上からフタをするのですが、そのフタに工夫がある。
預鑿数孔如置鼈之数。
あらかじめ数孔、置ける鼈の数に如(ひと)しきを鑿(うが)つ。
先に、カメに入れたスッポンの数と同じだけ、孔を開けておくのだ。
フタには重しを載せて動かなくしておき、薪木を足して、カマの中を熱するのである。
中の水が熱くなると、スッポンは出口を求めて、フタの孔から首を延ばして頭を出してくる。
そこで、
先以姜汁、椒末、醤油、酒醋調和燕D、乗其熱極口張、以匙挑而灌之。
先に姜汁、椒末、醤油、酒醋を以て調和して好きを堰iととの)え、その熱極まり口張るに乗じて、匙を以て挑みてこれに灌ぐ。
まず生姜汁、山椒の粉末、醤油、酒・酢をうまく調和させて味を調えた調味料を作っておき、湯が沸き立ってスッポンが口を開けてくるのを利用して、スプーンに掬ってスッポンの口の中に入れてやるのだ。
やがてぐらぐらに煮え立った湯の中でスッポンは死に、孔から首が引っ込んでいく。
そうしたらフタを開けて、スッポンを取り出しますと、
五味尽入腑臓、遍身骨肉皆香而死。
五味ことごとく腑臓に入り、遍身の骨肉みな香りて死す。
調味料の味がはらわたに沁み込み、骨も肉も体中、旨そうな香りのするスッポン煮ができあがるのである。
坊主どもはスッポンを煮ながら合掌し、
阿弥陀仏、再忍片時便不痛。
阿弥陀仏、再び片時忍ばばすなわち痛ならず。
「なんまいだ、あとしばらくガマンなすってくだされば、もう苦しくはございませぬからなあ、ひっひっひ」
と笑い、呼びかけるのである。なんと残虐なことではないか。(→参照)
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「在園雑志」巻四より。
著者の劉廷璣はさすがに坊主どもに頭に来たようで、
真所謂不禿不毒、不毒不禿者耶。
真にいわゆる「不禿不毒、不毒不禿」(フトフト、フトフト。禿ならざれば毒ならず、毒ならざれば禿ならず)というものならんや。
これこそ、ほんとうに、「ぶっだはぶっだ、ぶっだよぶっだ」(坊主ほどひどいやつはおらず、ひどいやつは坊主ばかり)と言うことであろう。
と怒っておりますね。
このシリーズは今回で終わり。