令和2年9月28日(月)  目次へ  前回に戻る

カニを食うようなやつは平家の風上にも置けない。

今日もまたとりなんばんそば食った。新たなものを食べるという判断能力がもう無くなってきているのだ。

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清の名儒・陸稼書先生は、

清風亮節在人耳目。

清風亮節、人の耳目に在り。

清廉な風情を持ち、明瞭に節度を守っていた、と、多くのひとが見たり聞いたりして今も記憶にある。

と謳われた立派なひとです。

官を辞して郷里に帰ろうとしたとき、満人大臣の那拉明珠(ならつ・めいしゅ)という方が

欲接納公。

公を接納せんと欲す。

先生の送別会を開いて接待しようとした。

そこで、

徐尚書乾学為訂期往謁、公諾之。

徐尚書乾学、為に往謁を訂期し、公これを諾えり。

尚書の徐乾学が、このために先生と時期を合わせて、大臣のところに行く日を定めた。先生は「わかりました」と快諾したのであった。

ところが、先生は、ことわりもせずに、

先期就道。

期に先んじて道に就けり。

約束の日の前に、郷里に向かって旅立ってしまった。

大臣はがっかりなさったそうである。

「それはいけませんぞ」

人或咎公失信、公曰、告以不往見、則無以拒有力者、必不免于見矣。

人、あるいは公の失信を咎むるに、公曰く、往見せざるを以て告ぐれば、すなわち以て有力の者を拒む無く、必ず見うに免れざらん、と。

ある人が、先生に

「約束を違えてはいかんでしょう。人としての信頼に関わることですぞ。それに那拉公も徐乾学も、公正な方々ではありませんか」

と責めたところ、先生は言った。

「お会いしたくない、と正直に言おうとしても、あんなお偉い方のせっかくのお申し出をお断りする元気もありませんし、必ずお会いすることになってしまったと思うんです」

と。

先生にとっては有力者と会うこと自体が、もともとあり得ないことだったのだ。

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「棲霞閣野乗」より。ソーシャルディスタンスを取っていたんですね。

苦しい一週間始まった。約束なんか放り出して何処かに逃げ出したいところです。果たして無事週末は来るのでしょうか。永遠に来ないカモ。

 

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