お寺には文化を理解しないこんなやつがいるかも知れませんぞ。
明日から平日。今週からは、もうほんとにどうでもいいや。
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秋分の日となり、めっきり涼しく、何より日が短くなってきました。そんな中、
独歩無伴侶、 独歩して伴侶無く、
曳杖白雲隈。 杖を曳く、白雲の隈。
おいらは独りぼっちで、連れ合いもなく出かけ、
杖をひきながら、白雲の外べりをたどって歩いてみた。
山の中に入ったんですが、それほど高山ではないので、白雲の隈(外べり)なんです。
ところが、
楓根斜日没、 楓根に斜日没し、
余色冷青苔。 余色、青苔に冷ややかなり。
カエデの根の向こうにつるべ落としのように日は沈んでしまい、
残映の中に緑のコケが浮かぶ。気温が下がってきた。
これは困りました。これから家に帰れそうにもない。
そのとき、
知有谷底寺、 知る、谷底に寺有るを、
木魚一声来。 木魚の一声来たれる。
谷に下っていけばお寺があるのがわかった。
木魚の音がふと、聞こえてきたからだ。
よかったです。ほんとはこちらに行ってたんですけどね。
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「東瀛詩選」巻四十三より「山行」(山歩き)。作者は「有馬輗(ありま・げい)、字・子車、瓊州と号す、南紀のひと」とありますが、「東瀛詩選」に入っているのもこの一首だけなので、どんなひとかよくわかりません。コトバ遣いとか、如何にも日本人の詩ですね。明治期の詩だとすると廃仏毀釈後になるんで、幕末の詩なのかな。