目があった―――が、それだけである。シゴトに行かされたためだいぶん弱っているようだ。うっちゅっちゅ。
肝冷斎に巣食っている肝冷ネズミでちゅー。肝冷ネコがやる気をなくしてぐたぐたになってしまったので、追いかけられることもなく表に出てきたのでちゅが・・・。
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元の時代、賢相とうたわれた脱脱(とと)さま(こちら参照)が宰相であったときのことでちゅーが、
有神童来謁。
神童の来謁する有り。
神童が面会を求めてやってきたことがあった。
「会ってみよう」
と会ってみましたところ、
年才数歳。
年、わずかに数歳なり。
やっと二三歳という幼児であった。
ところがこの幼児が詩を作ることができるというので、
「そうだなあ・・・
令賦担詩。
「担」の詩を賦せしむ。
では、「背負う」という題の詩を作ってみてくれるか」
すると、幼児は「あい、整いまちた」と即座に歌いだしました。
分得両頭軽与重、 両頭を分かち得たり、軽きと重きと、
世間何事不担当。 世間何事ぞ担当せざる。
軽いものと重いものを、やっと二つに分けることができて、よいしょ、と。
この世の中のことは、なんでもかんでも背負いこまないわけにはいかないのだよなあ。
「むむむ・・・」
脱脱は唸ってしまった。
蓋諷丞相也。
けだし丞相を諷するなり。
その詩は丞相の職責をぴったりと言い当てていたからだ。
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「至正直記」巻一より。総理大臣はたいへんでちゅねーというお話でちゅが、でもネズミもネズミなりにたいへんなんでちゅー。明日はもうおしまいだー。
なお、九月九日は重陽節ですが、旧暦ではないのでお祝いはしません。