蒲公英は地の花詩人は不遇でよし 寺山修司 おれたち肝冷斎族には名誉や財産は関係ないのさ。
なんとかして経済を回したいところです。
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おカネのあるひとは、どんどんおカネ使った方がいいみたいですよ。
だいたい、財産はそれを所有している、と思っているそのひと個人のものではないんです。
仏家以貨財為五家公共之物。
仏家、貨財を以て五家公共の物と為せり。
仏法の世界では、財物は五種類のひとびとの共有のものだ、と説いているそうである。
五種類とは何であろうか。
一曰国家。 一に曰く、国家。
二曰官吏。 二に曰く、官吏。
三曰水火。 三に曰く、水火。
四曰盗賊。 四に曰く、盗賊。
五曰不肖子孫。 五に曰く、不肖の子孫。
その一は、国家である。国家が「この財物はこちらで使うぞ」と言ってきたら、「はいはい」と言って公共のために提出しなければならん。
その二は、役人どもである。役人どもが「これはこちらに寄越しなされ」と言ってきたら、「むむむ」と思いながらも権力を恐れて提出しなければならん。
その三は、水害や火災である。洪水、火事その他の天災、人災が起これば、財産は水や火の奪うところとなるのである。
その四は、盗賊である。財物を持っている以上、盗まれるかも知れん。あるいは脅し取られたり、騙し取られたり、犯罪者のものになってしまうことがある。
その五は、怪しからん子孫である。大切な財産を命ある限り守り切ったとしても、それを受け継いだおまえの子どもや孫が、自分が稼いだもののように好き放題に使い尽すことであろう。
其言煞有意味。居官居室者皆不可不透徹此意。
その言、煞(はなは)だ意味有り。官に居り室に居る者、みなこの意に透徹せざるべからず。
以上のコトバはたいへん意義深いものである。お役所務めの者もそうでない者も、みなその内容を徹底的に思い知っておかなければならん。
特に、
其曰不肖子孫甚妙。若果有賢子孫、更不必需此。
その「不肖の子孫」と曰うは甚だ妙なり。もし果たして賢子孫有れば、さらに必ずしもこれを需(もと)めざらん。
この中でも「怪しからん子孫」と言っているのが、実によく出来ている。もしも「賢い子孫」であったなら、祖先の遺した財物などおそらくは不要であろう。
だいたい、おまえさん自身が「不肖の子孫」なのか、それとも「賢子孫」なのか?
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清・阮癸生「茶余客話」巻十五より。勉強になるなあ。財物なんてそういうモノなんで、どんどん無駄遣いした方がよいような気がします。今こそ玉子丼をかつ丼にし、みそラーメンをみそチャーシュー麺にするような飛躍の決断が必要なときなのですぞ。
こんな子孫に使い尽されてしまうかも知れないのだ。それぐらいなら大盛を特盛にした方が・・・。