令和2年2月19日(水)  目次へ  前回に戻る

超新星め、なかなかバクハツしないとは怪しからんでぶー。しようがないから蛍光灯買うか・・・。

蛍光灯を買ってきました。取り換えてみたら、なんと! この部屋はこんなに明るい部屋だったんだ。闇の世界から、神がみの世界に来たみたいだぜ。

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神さまはいるらしいんです。

江西・泰和の曽彦は明・成化戊戌年(1478)の科挙で、

年且六十、乃魁天下。

年まさに六十にならんとして、すなわち天下に魁たり。

六十歳になろうとしている年齢で、天下のさきがけ、すなわち状元(首席)で合格したひとである。

この年の試験では、

殿試館閣諸公閲巻竟日、未得超抜之作。

殿試に館閣の諸公、閲巻すること竟日、いまだ超抜の作を得ず。

皇帝の前で実施され、順位をつける最終試験である「殿試」の答案を、試験官の大学士の方々が、一日中読みまわしていたが、「これは」というずば抜けた回答が見つからないでいた。

ほとんど時間切れで、多数決で決めようかという話をしはじめたとき、最初は大学士の萬安さまだったといわれるのですが、誰かが、

「おい、これを見てみろ」

と、一枚の答案を、

亟賞嘆、以示衆。

亟(きわ)めて賞嘆し、以て衆に示す。

たいへんほめそやしながら、他の試験官に示した。

試験官たちはこれを手に取り、

伝観皆欽服、謂文宜第一。

伝観してみな欽服し、謂うに「文宜第一なり」と。

順次読んでいったが、みんな心の底から感服し、「文章もその内容も最高ですなあ」と言い合った。

ところで、

特未見其貌。故事、将賜題前一日、集諸挙士於礼部閣老堂中、呼名閲其儀観。

特にいまだその貌を見ず。故事、賜題せんとする前一日、諸挙士を礼部閣老の堂中に集め、名を呼びてその儀観を閲す。

試験官たちは、誰ひとり、「泰和の曽彦」というひとの容貌を見たことが無かった。従来からのしきたりとして、合格発表の前日に、受験者(既にみな地方試験合格の挙人の資格は持っている)たちを、試験を所管する礼部の幹部たちの詰所に呼んで、名前を呼んで本人を確認し、その態度や外見をチェックすることになっていた(ので、そこで確認することにした)。

首席や次席や三席は皇帝から直接「進士」として合格通知をいただくのですが、あんまりみすぼらしいのは皇帝の前に出せませんから、順位を下げなければならない。ビジュアルにも意味があるのです。

その会場で曽彦の名前が読み上げられた時、立ち上がった人物にみなの目が注がれたが、みんな

覚其秀偉、尤異於衆。

その秀偉を覚え、尤も衆に異なれり。

その姿はすらりと背が高く、普通のひとのようではない、と感じた。

「おお」

諸公喜曰、得人矣。

諸公喜びて曰く、「人を得たり」と。

試験官たちは目配せしあい、「人物を発掘できましたな」と喜びあった。

―――その翌日。

状元の席に座った曽彦を見て、立ち会った試験官たちは、みな首を傾げた。

確かに昨日の人物には違いないのだが、

貌寝多髯、与前不類。

貌は寝にして多髯、前と類せず。

顔つきはなんだかぼんやりとしていて、ヒゲが多く、なにやら昨日と感じが違うのだ。

合格の伝達式を終えて、最初に詰め所に戻ってきた試験官が、

取其巻読之、亦平平無奇語。以示諸公、皆然、乃大驚嘆。

その巻を取りてこれを読むに、また平平として奇語無し。以て諸公に示すに、みな然りとして大いに驚き嘆ず。

曽彦の答案を取り出して読み直してみたところ、実に平凡で、どこにも胸を突くようなコトバが無い。戻ってきた他の試験官たちにも見せたが、みんな「そうだなあ・・・」と首をかしげるばかり。最後にはみな何が何やらわからずに混乱してため息をつく始末であった。

そして、

以為有神助云。

以て神助有りしと為すと云う。

「これは神さまがいて彼を助けたのだ、としか言いようが無い」と言い合った、ということである。

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明・陸粲(字・子余)「庚己篇」巻第九より。やっぱり神さまはいたんですね。もしかしたら明日は我々が幸運に恵まれる番かも知れません・・・よ。

 

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