令和元年12月16日(月)  目次へ  前回に戻る

ネズミ年での活躍に向けてキビシイ訓練を続けるネズミどもだ。とはいえネズミの害は無い方がよいようである。

肝冷斎は出奔し、行方不明です。もういませんので探さないでください。本日からは代理の者がやりますので、文責は肝冷斎にはないのでこのHPを信じて困ったことになった、とか言われても肝冷斎は関係ありませんからね。

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ほんとかどうかは知りませんよ。

明の太祖・洪武帝(在位1368〜98)は、元を北に追いやって明朝を立てると、

以蔵天下黄冊、問入覲衆耆民曰宜作何向。

天下の黄冊を蔵するを以て、入覲の衆耆民に問いて曰く、「何れに向かいて作るべきや」と。

「黄冊」とは、チャイナでは人口を調べるときに三歳以上を「黄」といい、コドモまで含んだ人口調査簿のことを「黄冊」というのである。

国中の人口調査簿を保管することを考えていた。ちょうど招待して拝謁させていた多数の老人たちがいたので、彼らに対して

「どういう方向に向けて文書館を作るべきだと思うか」

と訊ねた。

他の老人たちが顔を見合わせて首をひねっていると、一人の老人が答えて言った、

宜東西向。

東西に向かうべし。

「東西に向かった建物を造られるのがよろしかろう」

「何故ぞ」

早晩日色取晒、庶無湿潤。

早晩に日色取り晒し、湿潤無きに庶(ちか)し。

「朝と夕方に太陽光線が入って簿冊を日光消毒しますから、湿気が無くなるはずですじゃ」

「なるほど」

太祖はたいへん喜ばれまして、

「書物のことに詳しいようじゃな。おまえの姓はなんというのじゃ?」

と問いました。答えて曰く、

毛。

毛なり。

「毛と申しますじゃ」

太祖は頷かれまして、おっしゃった。

爾言良是、今爾守之、俾無鼠。

爾の言まことに是、今爾これを守れば鼠を無からしめん。

「おまえのコトバはほんとうに正しいし、いま(姓を聞いてみると)、おまえに任せておけばどうやらネズミの害からも守れそうじゃな」

そして左右の兵士らに目配せした。

「うわー、何をなさるのじゃ」

太祖は老人を捕らえさせると、

遂活埋室中。取毛猫音微似也。

遂に室中に活埋す。毛・猫の音の微かに似たるを取れるなり。

とうとうその建物の基礎に生き埋めにしてしまった。これは「毛」(もう)と「猫」(びょう)の音が微妙に似ているので、そこに目をつけたのである。

後其地果無鼠耗。

後、その地、果たして鼠耗無し。

その後、その場所では、確かにネズミの被害が起こらなかった。

すばらしい。

なお、直接関係ないと思うんですが、

司書有鬼、名曰長恩、除夕呼其名而祭之、即不蠧。

書を司どるに鬼有り、名づけて「長恩」と曰い、除夕にその名を呼びてこれを祭れば、即ち蠧(と)せず。

書籍を管理する精霊がいる。その名は「長恩」。大晦日の夜にその名前を呼んで、供え物をして祀れば、虫食いの害が無い。

のだそうです。

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「茶余客話」巻十六より。ホントかどうか知りませんから、ネコやおじいさんを生き埋めにしてはいけませんよ。してしまっても肝冷斎には責任はありませんので念のため。

 

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