肝冷斎が遺した、古風なドウブツ絵である。青銅器時代以前の絵画の影響がみられる原始的絵画だ。
今日はえらい人と昼飯食った。もちろんおごってもらいました。
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いいものを食ったので、食い物のことで大事なことを思い出しました。
不食雛鱉。
雛の鱉(べつ)は食わず。
すっぽんのコドモは食わないようにしろ。
それから、
狼去腸、狗去腎、狸去正脊、兔去尻、狐去首、豚去脳、魚去乙、鱉去丑。
狼は腸を去り、狗は腎を去り、狸は正脊を去り、兔は尻を去り、狐は首を去り、豚は脳を去り、魚は乙を去り、鱉は丑を去る。
このうち、「乙」は篆字の「乙」の形をした骨が魚のどこかにあるそうで、これが喉に刺さるとたいへんなことになるのだそうです。「丑」はすっぽんの糞を出す穴のこととも、あるいは首の下にある骨で、毒を持っているのだ、ともいいます。
オオカミを食べるときははらわたを取り除いてから食え。
イヌを食べるときはキンタマを取り除いてから食え。
タヌキ・ネコの類を食べるときは背骨を取り除いてから食え。
ウサギを食べるときは肛門を取り除いてから食え。
キツネを食べるときは首から上を取り除いてから食え。
ブタを食べるときは脳みそを取り除いてから食え。
サカナを食べるときは体内のいわゆる「乙骨」を取り除いてから食え。
スッポンを食べるときはうんこの穴を取り除いてから食え。
また、
牛夜鳴則酉。羊冷毛而毳羶。狗赤股而躁臊。烏麃色而沙鳴郁。豕望視而交睫腥。馬黒脊而般臂漏。
牛の夜鳴くは酉なり。羊の冷毛にして毳なるは羶なり。狗の赤股にして躁がしきは臊なり。烏の麃(ほう)色にして沙に鳴くは郁(いく)なり。豕の望視して交睫なるは腥なり。馬の黒脊にして般臂なるは漏なり。
なんやら難しい字が並んでいますが、要するに、
夜鳴くウシはお酒の臭いがする。
毛が冷たくてむく毛になってるヒツジはヒツジぐさい。
後ろ足が赤くてよく吠えるイヌはあぶらっぽいにおいがする。
すすけた黒さのカラスは腐ったようなにおいがする。
上目遣いで見て、しかもマツゲが交わっているようなブタはなまぐさい。
背中が黒くて前足にまだらがあるウマはアリのにおいがする。
そうなんです。
料理するときはこれらに配慮しなければなりません。
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「礼記」内則篇より。こんなことも知らずにエライひとに飯を出すわけにはいきませんよ。エライひととお付き合いのある方は特に気をつけてください。でないと、気がついたらあなたのキン〇マや乙骨が抜かれてしまってるカモ。
カラスなどを嬉々として食っていた無知蒙昧な古代の絵画かと見まごうほどの原始的なエネルギーに溢れたドウブツ絵だ。