ごそごそ音がするので「ま、まさかおばけではあるまいでぶ・・」と言いながら観に行くと・・・。見える人は困るだろうなあ。
南国から帰ってきました。(何をしてきたかは、もう夜が遅いんで明日以降の報告となる。→まず観タマ報告(10.28))東京寒くて背筋ぞくぞくするんで、コワい話でもします。
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清の時代のことですが、
司法官を務めた張゚南(名は照)どのは、
白昼能視鬼物。
白昼よく鬼物を視る。
真昼間でも霊的なものを見るのであった。
いわゆる「見鬼者」(霊を見ることのできるひと)だったんです。
都・北京にいるころいつもおっしゃっていたのは、
毎日薄暮則街衢人鬼参半。大約鬼多短小。
毎日薄暮すなわち街衢に人鬼参半す。大約鬼は多く短小なり。
「毎日、薄暮になると街中にはニンゲンと幽霊がだいたい半分ぐらいづつになるのう。たいてい幽霊の方はチビだなあ」
「そ、そうなんですか」
見貴官至、輒退縮遠避。午前則不敢出。
貴官の至るを見るに、すなわち退縮して遠避す。午前はすなわちあえて出でず。
「朝廷のエライ役職の方の行列が通りかかると、幽霊どもは遠くに退散して避け、縮こまってしまう。また、午前中はなかなか出てこないんじゃ」
これは重要な情報ですね。幽霊のコワいひとは朝廷で出世すればいいみたいです。
巡撫にまでなった胡太虚さまも同じ能力を持っておられた。
嘗宴客、正挙觴勧飲、忽停箸急趨入内、少頃踉蹌出、手持門闑。大声呼逐、至門外始返。
かつて宴客し、まさに觴を挙げて勧飲するに、たちまち箸を停めて急に趨りて内に入り、少頃にして踉蹌として出でて、手に門闑(もんげつ)を持す。大声にて呼逐し、門外に至りて始めて返る。
あるとき宴会でお客をを呼び、最初の乾杯を行ってこれから飲もう、というときに、(何かを見たのか)突然箸を止めて、あわてて奥の部屋に走り込んでしまった。しばらくするとよろよろと出てきたが、その時、手には門扉の闑(ゲツ)を持っていた。そして、大声で「出てけ」と叫びながら門外まで行って、そこから戻ってきたのである。
戻りながら、門のところに「闑」を仕掛けた。「闑」(ゲツ)というのは、扉の真ん中に置いて、扉が開かないように止める板です。
客人たちが驚いて、「どうされたのか」と訊いたが、
不言。
言わず。
「なんでもござらん」
とすごい怖い顔をして言うばかりで、答えなかった。
そしてその顔のままで、
「さあ、みなさま楽しんでくだされ」
というのであった。
宴会が終わって夜になると、
戒家人勿眠。
家人を戒めて眠るなからしむ。
家中一同に「今夜は眠るな」と命じた。
朝になりました。
及旦、報隣家一婦人縊死。
旦に及び、隣家一婦人の縊れ死するを報じたり。
朝になると、隣の家で騒ぎが起こっていた。その家の女が一人、首を吊って死んでいたというのである。
それを聞いて、胡大虚さまは、
「お隣までは防げなんだ」
と言ったそうです。
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「茶余客話」巻九。背筋ぞくぞくしましたか? おいらは明日は会社に出勤です。コワくてたまりません。風邪ひいたのカモと言って休もうかな。