今年も相変らず社会に寄生する三大ドウブツたち、やる気のないのがモグ、怠けているのがナマケモノ、何も考えてないのがコアラ、である。
肝冷斎がどうやら生きているようなのです。あろうことか、岡本全勝さんのHPに絵を投稿していました。管財人としてはとっ捕まえて責任を追及したいところなのですが、まだどこに潜んでいるのかはっきりわかりませんので、もう少し泳がせておくか。くっくっく・・・。
なお、当方はただの管財人で肝冷斎とはニンゲン的な付き合いがあるわけではないので、肝冷斎が会社に来ない、という文句の電話をかけるのはお控えください。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
清の時代のことでございます。
江蘇・邳州の西の郊外に住む百姓が、山に出かけたおり、
見道傍一石方正、可作礪、裏以袱、負之而行。
道傍に一石の方正にして、礪と作すべきを見、袱を以て裏(つつ)みてこれを負いて行く。
道ばたに、真四角な石を見つけた。
「砥石に使えるぞ」
と思って、風呂敷に包み、背負って歩いて行った。
しばらく行きましたところ、
むずむず。
石忽蠕動。
石たちまち蠕動す。
背負った石が、突然にょろにょろ動き出したのであった。
「うわあ」
背中の包みを下ろそうしたところ、石は
破裏出、有四足、攫入膚理。
裏を破りて出づるに、四足有りて、膚理に攫入せんとす。
包みを破って出てきたのだ。なんと、四本の脚が生えており、それでもって百姓の背中にしがみつき、皮膚を破って入り込もうとしてきたのである。
「わわわ」
農駭痛暈仆、遇隣人舁帰。
農、駭痛して暈仆し、隣人に遇いて舁帰す。
百姓は驚いたし痛くてたまらないので、気を失って倒れてしまった。たまたま隣人が通りかかって、担いで家まで帰ってくれた。
移時始甦、石足已与肉合、稍一触動、痛徹心骨。
移時にして始めて甦るに、石足すでに肉と合し、わずかに一触動するに、痛み心骨に徹す。
しばらくしてやっと気を取り戻したのだが、石の脚は四本ともすでに肉と引っ付きあっており、石に触って動かそうとすると心臓や骨に響くほど痛いのであった。
「しようがないなあ」
ということで、その後十数年、それを背負ったまま暮らし、
農死、幷殮焉。
農死して、あわせて殮(おさ)めたり。
百姓が死んだあと、石も一緒に埋葬したのであった。
・・・・・・・・・・・・・・
「翼駉稗編」巻五より。これは石ではなくて恐ろしい地球外生物の記録ではないかと思われます。18世紀には物体Xが来ていたんだなあ。肝冷斎もこの「石」のように、誰かにしがみついて寄生して生きているのかも知れないのです。恐ろしいことである。