平成30年12月28日(金)  目次へ  前回に戻る

ぶたとのは全くシゴトをしていないが、明日からはさらに一段とシゴトをしないようである。

今日は寒かった。こんなに寒くてはもう会社に出勤なんかできません。明日からはもう絶対に行かないぞ。

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清の時代のことなんですが、うちの田舎に張媼というばばあがいるのだが、このばばあ、

自云嘗為走無常、今告免矣。

自ら云うに、嘗て「走無常」たり、今は免を告げらる、と。

「走無常」は、冥府の使い走りをする者で、死者を迎えに来たり、間違って死なせてしまった者を送り返しに来たりする。生きている人である場合も幽霊である場合もあります。

自分で言うには、

「あたしは以前は走無常をしていたんじゃ。今はもうおゆるしをいただいているがのう」

ほんとうであろうか。「証拠の映像でも出してみろ」と言いたいところですが、証拠の代わりにいつもばばあが言うことには、

昔到陰府、嘗問冥吏。

昔、陰府に到り、嘗て冥吏に問えり。

「むかし、あの世の役所に出入りして、あの世のお役人にこんなことを訊いたんだよ・・・」

質問1・・・・・・・

事仏有益否。

仏に事うるは益有りや否や。

ホトケさまに奉仕すると利益があるか否か。

回答)仏只是勧人為善、為善自受福、非仏降福也。若供養求仏降福、則廉吏尚不受賂、曾仏受賂乎。

仏はただこれ人に善を為すを勧む、善を為せば自ら福を受く、仏の福を降すにあらざるなり。もし供養して仏に福を降すを求むれば、廉吏すらなお賂を受けざるに、かつて仏の賂を受くるあらんや。

「ホトケさまは人びとに、ただ「善いことをせよ」と勧めてくださるだけなんじゃ。善いことをすればおのずと幸福を受けることができるのじゃから、ホトケさまが幸福を下さるわけではないんじゃ。だいたいじゃなあ、もしもホトケさまに幸福を下されとお願いしたとしても、現世のマジメな役人でさえ賄賂は受けない者がいるのじゃから、ホトケさまが賄賂を受けたなんて聞いたことが無いわい」

質問2・・・・・・・

懺悔有益否。

懺悔に益有りや否や。

罪を告白すると利益があるか否か。

回答)懺悔須勇猛精進、力補前衍。今人懺悔只是自首求免罪、又安有益耶。

懺悔はすべからく勇猛に精進すべくして、前衍を力補す。今人の懺悔はただこれ自首して免るるを求むるのみ、またいずくんぞ益有らんや。

「罪の告白はとにかく激しいキモチで後悔に突き進むことによって、やっと以前の過ちをなんとか補うことができるのである。ところが最近のやつらの罪の告白というのは、ただ自首したら罪を免かれることができるのではないか、という程度のものでしかない。こんなので、どういう利益があるだろうか」

うーん。なるほど。

此語非巫者所肯言、似有所受之。

この語、巫者のあえて言うところにあらず、これを受くるところ有るに似たり。

これらのコトバは、あの世のコトバを取り次ぐシャーマン商売の者たち(にとって)は(自分たちに不利なことであり)、こんなことを言うとは思えない。どこかでしっかりとした思想家から聞いたものであるようにも思える。

さて、どうでしょうか。

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清・紀暁嵐「閲微草堂筆記」巻十より。自分に利益があるか否か、だけで物事を判断しようとするところが、如何にもチャイナの庶民たちのナマの姿を見るようで、ほほえましい。

今日は、能登半島沖(ほんとに日本の沿岸のすぐ近く)で、K国の軍艦が国旗も揚げずに何やら活動していた問題で、海上自衛隊が映像を公開しました。K国はウソつきだ、証拠を出されてもまだもごもご言っている、というのがよくわかったし、海上自衛隊が如何に沈着冷静にシゴトしているかもわかった。やっぱり証拠は大切だなあ。

 

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