忍者の修行をしようと思ったのだが、昼間も昼寝をするのに忙しく、修行は遅遅として進まない。
今日は金曜日だと思っていたのに、まだ木曜日だったので、絶望して昼の会議で寝た。
・・・・・・・・・・・・・・・・
清の時代のことです。江蘇・無錫の東郷に唐与鳴というひとがいました。
このひとが、
偶昼卧椅上、齁齁睡熟。
たまたま、昼、椅上に卧して、齁齁(こうこう)として睡熟せり。
あるとき、昼間、長椅子の上で寝転がっていて、こうこうとイビキをかいて熟睡したことがあった。
家人が見に来て、眠っているのを知ってそっとその場を離れようとしたとき、
忽鼻中出両小人、可二寸許、行地上疾如飛。
忽ち鼻中より両小人の、二寸ばかりなる、地上を行くに疾きこと飛ぶがごとし。
突然、唐の鼻の穴から、二人の小人ちゃんが出て来たのだった。その背丈は6〜7センチ、地上をまるで飛んでいるかのように素早く動き回る。
「なによ、これは」
家人驚異、将攫之、仍躍入鼻中而寤。
家人異に驚き、これを攫わんとするに、よりて鼻中に躍入して寤めたり。
家人は変なものが出てきたので驚き、これを捕まえようとして大騒ぎしたが、小人たちはこれに気づくと、鼻の穴にまた飛び込んでしまい、そこで唐は目を覚ました。
唐は目を覚ますと、
「今、危うかった。楽しく歩いていたら、巨大なひとが現れ、わしを捕らえようとしたのだ。恐ろしい夢であった」
と言った。
そこで、
始知短人者即唐之元神也。
始めて知る、短人なる者は即ち唐の元神なれるを。
ようやく、小人は唐自身の本体であったことがわかったのである。
捕まえなくてよかったですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・
「履園叢話」十四より。魂には荒魂と和魂、天下大将軍と地下女将軍、陽神と陰神など、対になるものが多いので、この唐の「元神」(本体)も両方の鼻の穴から二体出てきたのであろう。肝冷斎の鼻の穴からも出てくるかも知れませんので、会議中はご注意ください。