猟奇カメにんげん! ♂はこんな感じだったのであろうか? かなり役に立たない雰囲気がある。
いよいよ明日は平日か。涙流れる。ちなみに昨日・一昨日は休前日なので1時間以上かけてアップしたが、今日は30分ぐらいやってアップできなかったら諦めようと思います。
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清の時代のことですが、我が蘇州の進士・貢青選どのがまだ若くて修行中だったころ、蘇氏の家の裏庭の別棟を借りて住み、蘇家の子弟に勉強を教えていた。
この部屋は、
臨大池、池東有楼三楹。
大池に臨み、池東に楼の三楹なる有り。
大きな池に面して(西側に)あり、池の東には三本の柱のある立派な二階建ての建物があった。
二階の部屋は、
四面紅窗、不時啓閉、疑居停内眷所居。
四面の紅窗、時ならずして啓き閉じ、疑うらくは居停の内眷の居るところならんかと。
四方に赤い縁取りの窓があって、これがいつも開いたり閉じたりしているので、おそらく屋敷の管理人の家族が住んでいるのかと思われた。
ところが、
一日薄暮、有美人雲髻、憑窗睨貢而笑。
一日薄暮、美人の雲髻なる有りて、窗に憑りて貢を睨みて笑う。
ある日の夕暮れ方のこと、高い髷を結い上げたなかなか美しい女が窓の一つに寄りかかりながら、貢先生の方をじっと見て、そして笑ったのであった。
「?」
女がいるのはいいとして、あんなに高い髷は近年全く見ない。数百年前の絵画などに出てくるばかりである。
駭其非時世装、私問生徒、始知空楼扃鐍已久。
その時世の装にあらざるに駭ろき、ひそかに生徒に問いて、始めて空楼にして扃鐍(けいけつ)すでに久しきを知る。
あんまりに古風な髪型をしているのを不思議に思って、生徒の一人(蘇家の子弟である)に
「あの楼にはどんなひとが住んでおられるのかなあ」
と訊ねてみたところ、なんと!
「あの建物には誰も住んでいませんよ。ずいぶん前から入口にカンヌキがかけられていて、誰も出入りできないはずでちゅ」
ということを始めて知った。
貢先生、ますます不思議に思っていたところ、
閲日又見。乃潜詣楼下、摂梯以窺。
閲日また見らわる。すなわち潜かに楼下に詣り、梯を摂りて以て窺がえり。
数日すると、またくだんの女が現れた。先生はそうっと見つからないように建物の下に行き、はしごを持ち出して静かに二階の窓まで昇って、中をのぞき込んだ。
そして、
「あ!」
と驚いた。
一怪独立、上人而下鱉也。
一怪独立し、上は人にして下は鱉なり。
中には怪物が一体立っていた。体の上半分は人間で、下はすっぽんなのである。
人魚のすっぽん版だったのです。
そいつは、
回顧見人。
回顧して人を見る。
ゆっくり振り向いて、貢先生の方を見た。
そして、「にたり」と笑った。
先生ははしごにつかまったまま、みじろぎもできない。
しばらく睨み合っていたが、そいつは、突然、
砰然投池中。
砰然(ほうぜん)として池中に投ぜり。
ひょい、と窓を乗り越えると、音を立てて池の中に飛び込んでしまった。
どぼん。
―――古池やすっぽん飛び込む水の音
でございます。
「あわわわわ」
貢先生ははしごから飛び降りると、
急白居停、涸池覓之、不得。
居停に急白し、池を涸らせてこれを覓むるも、得ず。
大急ぎで管理人に言って、池の水を抜いてそいつを探したのだが、見つからなかった。
ということです。
なお、
後亦無他異。
後また他異無かりき。
それ以降、別におかしなことは起こらなかった。
そうである。
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清・湯用中「翼駉稗編」巻一より。池の水全部抜いていると在来魚も死んじゃうんですから、巨大すっぽんなんか全滅である。肝冷斎一族も今週一週間に全滅するかも知れません。なんとなくそんな気がする。