さすがにサクラも咲いてきたので雪だるまは「くに帰るまー」と帰っていく。ただし今日も夜になるとまだ寒い。
金曜日です。また二日もすれば来週が来るのでがっかりですが、やっと週末だ。東京の桜も咲き始めました。しかしまだ寒くて夜外で寝ると凍えそうである。早く夏になって野外でごろごろできるようになるといいなー。
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明の成化十三年(1477)夏、北京でのことだそうですが、ある晩、
小民夜坐、或露宿、見有物負黒気一片。
小民の夜坐し、あるいは露宿するに、物有りて黒気一片を負うを見る。
貧しい人民どもが屋外に座ったり、あるいは野宿したりしていたところ、黒いガスのようなものに包まれたドウブツらしきものを見かけた。
「なんだなんだ」
それは、すうっと家の中に吸い込まれるように入って行き、また出て来て、次の家に入ることを繰り返した。
家の中では、
其来如自牗戸入密室、至則人皆昏迷、手不得動、身面多被噛。
その来たるや牗戸より密室に入るが如く、至ればすなわち人みな昏迷して、手動くを得ず、身面多く噛まる。
それは締め切った窓や扉から入り込んで来るとしか思えなかったが、それが入ってくると家人らはみな意識が昏迷し、手が動かなくなって、その間にそいつに体や顔のあちこちを噛まれるのである。
命を奪われることはないのだが、噛まれた場所が腫れて、何日かの間苦しむのであった。
いったいこのドウブツは何のために現れたのか。わからないままに、
数日遍城驚擾、夜皆持刃張灯、鳴金撃鼓逐之。
数日にして遍城驚擾し、夜みな刃を持ち灯りを張り、金を鳴らし鼓を撃ちてこれを逐う。
数日のうちに北京城内のあちこちで「出た」とか「見た」とか驚き騒ぎ、夜になるとどの家でも刃物を持ち出して提灯を掲げて見張り、「出た!」というと金属を打ち鳴らし太鼓を叩いてそれを追い回した。
追いまわしたが、それを捕まえたものはいなかった。
其形小金睛、修尾類狸。
その形、黒くして小さく、金睛にして尾を修むること狸に類す。
その形状は黒く、小さく、目が金色である。しっぽが丸まっていて、タヌキのようであった。
いったいどういうドウブツだったのかわからないまま、しばらくするとその騒ぎは収まった。
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明・江盈科「聞紀」より。なんというおそろしいドウブツでしょう。この事件のように、おそろしいドウブツが出現したのであれば人民どもが騒ぐのも仕方ないと思うのですが、火の無いところに火をつけて騒いでいるひとたちが今日もいるらしいなあ。