ひよこどもが温泉に入りに来た。
どんどん入ってきて、あっという間にもはやひよこ温泉である。このようにひよこはどんどん増えるという特徴がある。
二日も会社に行ったのでそろそろ休みでは・・・と思ったが、まだ火曜日だったでぶー。
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清の時代のことでございます。浙江・松江の王渓山がコドモのころ、
其廚下嘗有雞雛声、啾啾然如数十口。
その廚下に嘗て雞雛の声有り、啾啾然(しゅうしゅうぜん)として数十口の如し。
その家の台所で、いつもニワトリのひな(ヒヨコ)の声がした。「ちゅう」「ちゅう」と鳴いて、どうも数十羽もいるようである。
しかし、どう探しても声ばかりして、ヒヨコの姿は見えない。
挙家怪異、童僕輩夜不敢独行。
家を挙げて異を怪しみ、童僕の輩、夜あえて独行せず。
家中で不思議なことだとウワサしあって、コドモや下男どもは夜になると誰もひとりで台所に行こうとはしなかった。
ヒヨコにびびるとは、情けない。
ところでこの台所にはニワトリが一羽おりました。
このニワトリ、
毎聴声輒喀喀作呼雛状。
声を聴くごとにすなわち喀喀(かくかく)として雛を呼ぶの状を作す。
ヒヨコの声が聞こえると、「こけこけ」とヒヨコを呼ぶような様子をするのである。
みんな「このニワトリが何か怪しい」と思っていた。
一日、忽見母雞抱雛三五頭。
一日、たちまち見る母雞の雛を抱くこと三五頭なるを見たり。
ある日のこと、このニワトリ、いつの間にかヒヨコを三〜五羽抱えていた。
「ついに姿を現わしたか!」
家の者たちが、
迫取之、雛即入地而滅。
これを迫取せんとするに、雛は即ち地に入りて滅す。
このヒヨコを無理やりに捕まえようとしたところ、「ぴよぴよ」と鳴きながら、ヒヨコたちは地面に潜って姿を消してしまった。
以上。
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清・朱海「妄妄録」巻八より。土遁の術を使うとは、大したヒヨコである。わたしも職場で「ここにいたか」と見つかったら地面に潜れるような能力があれば、もう少し積極的に会社に行けるのような気がするのだが。