あ、ぶたタクだ! ぶたタクはひよこナビを導入しているものの、「無事故・十円・無到着」がスローガンである。なめてかかるとどこに連れていかれるかわからない。
今日も新たにイヤなことがあったなあ。心の無いブタだからいいものの、もしニンゲンだったら絶望しているところでぶよ。
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明の萬暦癸丑年(1613)秋、江蘇・呉の長洲県陽城湖、玄珠村での出来事、というところまではっきりわかっておりますが、ある人が、
夜夢家中所畜豬皆無首。
夜、家中に畜(たくわ)うところの豬(ちょ)、みな首無し、と夢む。
ある晩、家で飼っているブタが、どれもこれもアタマを無くしてしまった、という夢をみた。
「変な夢を見たなあ」
怪之、開晨起視。
これを怪しみて、開晨起きて視る。
いやなキモチになりながら、朝になって、起きだしてブタたちの様子を見に行った。
ブタどもは、
「ぶー」「ぶー」「ぶーでぶー」
と鳴きながら、いつものように騒いでいる。
「別に変わりはないよな・・・」
ひょい、とブタ小屋をのぞき込みますと、
欄中豬無一有首者、且覓食撥草、躁擾如故。
欄中の豬、一も首有るもの無く、かつ食を覓(もと)め草を撥ね、躁擾もとの如きなり。
柵の中のブタどもには、アタマがあるやつは一頭もいない―――みんなアタマが無くなっていた。それが、食べ物を探し、草を撥ね上げて、いつものように「ぶー」「ぶー」と大騒ぎしていたのだ。
「うわー、なんだこれは。縁起でもないぞ!」
そのひとはただちに家人らに命じて、
殺而食之。
殺してこれを食う。
ブタどもを殺して食ってしまった。
そうしたら、
旬日間、一家七口蕩尽。
旬日の間に、一家七口蕩尽せり。
十日も経たない間に、その家の家族七人、みんな死に尽くしてしまったのであった。
なんということでしょう。
呉人周虚館於其隣、目撃斯禍。
呉人周虚、その隣に館し、この禍を目撃せり。
呉のひと周虚がその家の隣に住んでいて、この災害をその目で見たのである。
と言って教えてくれたことである。
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明・銭希言「獪園」第十四より。目撃者がいるんですから本当のことなんでしょう。
ブタをなめているとひどい目に遭うこともある、ということでぶな。ぶっぶっぶ。(一家全滅は単なる食べ過ぎカモ)