平成30年1月3日(水)  目次へ  前回に戻る

水面が凍ってしまって固定化されたカッパである。ただし、寒さの極致として比喩的に描いたもので、カッパはこんなに寒くなる前に水底の家に入ってコタツに当たっているのが通常である。

寒いですね。しかも明日はシゴトはじめ。

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むかしも冬は寒かったんです。

春秋の時代、斉の国で、

晏子侍于景公、朝寒。

晏子、景公に侍するに、朝寒し。

朝の政務のとき、宰相の晏嬰さまが景公さまのお傍に侍っておりました。この日は寒かった。

「ぶるるる」

景公がガマンできなくなって、目の前にいる晏嬰に向かって、

請進暖食。

請う、暖食を進めよ。

「あたたかいものでも食べさせてくれぬか」

しかし、晏嬰は首を横に振りまして、答えて言った。

嬰非君奉餽之臣也。敢辞。

嬰は君の奉餽(ほうき)の臣にあらざるなり。敢えて辞す。

「わたくし嬰は、わが君に食膳をお進めする役職ではございませんからなあ。食べさせてあげたい、けどあげられません」

「むむむ・・・」

しばらくしてから、景公はまた言った。

請進服裘。

請う、服裘を進めよ。

「毛皮の服を着せてくれんか」

晏嬰はまた首を振りまして、言った。

嬰非君茵席之臣也。敢辞。

嬰は君の茵席(いんせき)の臣にあらざるなり。敢えて辞す。

「わたくし嬰は、わが君に服や座布団をお進めする役職ではございませんからなあ。着せてあげたい、けどあげられません」

「むむむ・・・」

景公は言った。

然夫子之於寡人、何為者也。

しからば夫子の寡人におけるや、何を為す者ぞ。

「それなら、あなたは、わたしにとってどういうことをしてくれる役職なのか」

「うっしっし」

晏嬰は(待ってましたとばかりに)答えました。

嬰社稷之臣也。

嬰は社稷(しゃしょく)の臣なり。

「わたくし嬰は、「社」と「稷」を司る役職なんですなあ」

「むむむ・・・、社と稷を司るの臣とはどういうことをするのであろうか」

「社」は土地の神、「稷」は穀物神あるいは耕作を指導する農業神です。「社稷」と熟して、国家の基盤、国家の存立を意味する。

「うっしっし。

夫社稷之臣、能立社稷。別上下之義、使当其理、制百官之序、使得其宜、作為辞令、可分布於四方。

それ、社稷の臣は、よく社稷を立つ。上下の義を別にしてその理に当たらしめ、百官の序を制してその宜(よろ)しきを得しめ、辞令を作為して四方に分布すべくすなり。

その社稷の臣といいますのは、社稷(国家の基盤)を確立する役職なんですなあ。上位のひとのやるべきこと、下位のひとのやるべきことを明確にして、みなにすべきことをさせる。もろもろの官職にある役人たちの序列を定めて、担当を決めたり意思形成をどう進めればいいのかを適正化する。決まったことを権威ある文章に作って、各地方にまで公布施行できるようする。これらが社稷の臣の職務内容でござる」

「ああ、そうか、なるほどなあ」

自是之後、君不以礼、不見晏子。

これよりの後、君は礼を以てせずば、晏子を見ざるなり。

このことがあってからは、景公さまは晏嬰さまに面会なさるときには、しきたりどおりにされ、職務外のことを頼むことはしなくなりました。

とさ。

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「晏氏春秋」巻三・雑上。寒いので何とかしてくれ、というのを逆手にとられて説教されましたね。しかし、たとえ説教されなくても、寒いのイヤだなあ。明日の朝はまた寒いみたいです。

なお、暑さ寒さに関係なく、みなさんは「社稷の臣」となれるよう努力してください。(岡本全勝さんの「明るい公務員講座」を参考にしよう!)←平成30年1月4日、ご本人より「ちょっとどうかなあ」とのご批判あり。

 

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