なんじらがためにたましいを落ち着ける術を施してやろうでぶー。まずは会社を・・・。
もう一月も二日になってしまいました。刻々とわが社の仕事始めが近づいてくる・・・。あと一日あるんで、その間に「準備」をしなければ・・・。
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今日は「準備」が間に合った人たちのお話です。
三国の呉の国でのことだそうですが、徐伯始という貴族のひとが病いを得たので、道士の呂石を呼んでたましいを落ち着ける術(「安神術」)を行わせた。この術はそこそこ大がかりなもので、数日を要し、また一人で出来るものではない、ということで、呂石は戴本と王思という二人の弟子を連れて徐の家にしばらく逗留していた。
ところがある日、
石昼臥、覚語本、思。
石、昼臥し、覚めて本、思に語る。
呂石は昼寝していたが、目を醒ますと、戴本と王思を呼んで次のように語った。
夢上天、北斗門下見外鞍馬三疋。云、明日当以一迎石、一迎本、一迎思。
夢に天に上り、北斗門下に鞍馬三疋を外するを見たり。云うに、明日、まさに一を以て石を迎え、一は本を迎え、一は思を迎うべし、と。
わしはさきほど夢の中で天に昇ってきて、天宮の北斗門の外に、三頭の馬が鞍をつけて繋がれていたのを見た。そのとき、どなたかが、
「明日あたりこのうちの一頭が呂石を迎えに行き、一頭が戴本を迎えに行き、一頭が王思を迎えに行くことになるようじゃのう」
とおっしゃっている声が聞こえたんじゃ。
そして、二人をぎろりと見まして、にこりと笑って言った。
如此、死期至。可急還、与家別。
かくのごとく、死期至るなり。急に還りて家と別るべし。
「というふうに、どうやらこの世とお別れの時が来たようである。さあ、急いで家に帰って、家人らに別離の挨拶をしようではないか」
戴本と王思も、にこりと笑いまして、
「あい!」
と答え、三人で
不卒事而去。
事を卒(お)えずして去る。
術を終了させずに帰って行こうとした。
「おいおい」
伯始怪而留之。
伯始怪しみてこれを留む。
依頼者の徐伯始は、「昼寝して夢を見ただけで仕事を放り出して帰ってしまう、とはどういうことじゃ」と帰るのを認めようとしなかった。
しかし、三人は
懼不見家也。
家を見ざるを懼るなり。
「生きているうちに家に到着できないと困るでしょうに」
と言って、無理に帰って行った。
間一日、三人同日死。
間一日、三人同日に死せり。
二日後、三人はみな前日のうちに死んだ、という報せが来た。
おしまい。
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「捜神記」巻九より。ためになる話だなあ。おいらも明日あたりはおそらくシゴトを放り出して帰ってしまわないといけないような夢を見ると思うんですが、目覚めたときまで覚えているかどうか少しだけ心配だなあ。