平成29年12月30日(土)  目次へ  前回に戻る

まだ酉年であるのでコケ。

今日は交通機関大混雑の中、だいぶん遠くまで来ました。今年はここで年越しすることにします。

↓こういう方法なら、混んでるときは楽なのですが・・・。

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明の時代のことでございますが、浙江・余姚の演武場(スタジアム)で兵士たちが操練をしていた。

金鼓喧闐。

金鼓喧闐(けんてん)たり。

「闐」(てん)は「満ちる」です。

「かん、かん!」「どんどこどん」と、刀槍などの金属を打ち合わせたり、歩武を整える打楽器の音が騒がしく満ち満ちていた。

そこへ、

どだーーーーん!!!!

激しい物音とともに、なんと、

忽有白龍自空而墜。身騎一人。

忽ち白龍の空より墜つる有り。身に一人を騎せたり。

突然、白い龍が空から墜ちてきたのだ。しかも、その龍にはひとが一人、乗っていた。

「うわーい」

と大騒ぎになりました。

少頃、龍起而人墜、昏仆不省。

少頃にして龍起ちて人墜ち、昏仆して不省なり。

しばらくすると龍はまた飛び上がったが、そのとき人は地面に振り落とされた。気を失って倒れており、意識は無いようである。

衆扶携灌救、半日方蘇。

衆、扶携して灌救するに、半日にしてまさに蘇る。

みんなで助け起こし、物陰に運び入れて、水をかけたりして介抱してやったところ、半日してやっと意識を取り戻したのであった。

そこで、いったいなにがあったのか、そもそもおまえは何者か、と問いただすに、

爲閩海捕魚人。以失足下水。

閩海の捕魚の人なり。失足を以て水に下る。

「わたくしは福建の海辺の漁師でございます。船上から足をすべらせて海に落ちたところ・・・」

なんと、彼が落ちた海面に、ちょうど龍が寝ていたらしいのである。

龍驚而騰。

龍驚きて騰がれり。

龍は驚いて、空中に飛び上がった。

「そのままここまで運ばれてきたのですが・・・

因教場喧声而墜。

教場の喧声に因りて墜つ。

この演武場があんまり騒がしかったので、驚いて墜ちてきたようなんです」

ということであった。

これは隆慶己巳年(三年。1569)のことである。当時そこそこ騒ぎになった真実のことだ。

さて、つらつら考えるに、

一凡夫耳。非有馴龍術、乃能攀附御空而行。

一凡夫のみ。馴龍の術有るにあらず、すなわちよく攀附して空を御して行く。

彼はただの一般人でしかない。龍を扱う術を持っていたわけでもない。それでも龍につかまって、空を飛ぶことができたのである。

これを以て考えるに、いにしえ龍に乗って天に昇ったひとがいた、などという伝説は、

或非誣矣。

あるいは誣(いつわ)りにあらざるなり。

どうやらフェイクではないようなのである。

ほんとかなあ。

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「続耳譚」巻四より。時も場所も特定され、しかも軍隊という公的機関も関与しているんだから虚偽のはずはありません。今年はマスメディアにフェイクばかり聞かされてきたので、ついつい何でも疑ってしまいがちになりますが・・・。

これで今年の更新は終わります。みなさんどうもありがとうございました。

 

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