平成29年6月9日(金)  目次へ  前回に戻る

初乗り10円の激安ぶたタク。「行き先までイノシシのように直行でぶ」と言うが、実は行き先を告げても理解せずに走り出す。しかも時速は20キロ以下。人件費(ぶた件費)を極端に切り詰めたビジネスモデルである。

せっかく今週終わったのに、また来週が来るんかー!

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どこかに行ってしまいたいですね。

・・・わたしは長らく斉の地(山東地方)に行ってました。

あのあたりは、オオカミやハリネズミに加えて、貛(まみ。わかりづらいのでムジナと訳します)や鼠狼(イタチのことらしいです)も多い。

貛如犬、穴地中、常以夜定出田野覓食、鶏鳴即還、其行皆有熟路。

貛は犬の如く、地中に穴し、常に夜定を以て田野に出でて食を覓(もと)め、鶏鳴すればすなわち還り、その行くやみな熟路あり。

ムジナはイヌに似ているドウブツであるが、地面に穴を掘って巣にしている。夜行性で、深夜になると田んぼや野原に出てきて食料をあさり、ニワトリが鳴くとすぐに巣穴に帰るのであるが、その行動はいつも一定の通行路があるのである。

そこで、

土人覓其穴、置罠于穴口、鶏鳴時縦犬嗾之、奔而入穴、即獲焉。

土人はその穴を覓め、罠を穴口に置きて、鶏鳴時に犬をほしいままにしてこれを嗾(そその)かし、奔りて穴に入るに即ち獲る。

地元民はその巣穴を探し出すと、夜の間に穴の口にワナを仕掛けておき、ニワトリが鳴いたときにイヌを放して、ムジナを追いかけまわさせる。ムジナは大急ぎで巣穴に戻って穴に入ろうとする・・・ので、そこでワナにはまって捕らえられるのである。

捕らえたものは、チャイナですから当然、食べるんです。しかし、

其肉腯甚、不能多啖也。

その肉は腯(とん)なること甚だしく、多く啖らうあたわず。

その肉はぶよぶよにあぶらこくて、あまり多く食うことができない。

そう聞くと「ぶよぶよなのか」とちょっと親近感湧きますね。・・・あなたは湧きませんか。

これに対し、

鼠狼雖小、而窃食鷄鴿之類、一噛即断其喉。

鼠狼は小といえども、鷄・鴿の類を窃み食い、一噛すなわちその喉を断つ。

イタチはもう少し小さいドウブツであるが、ニワトリやハトなどの家禽類を盗み取って食う。まずひと噛みして、ニワトリなどののどを噛み切り、即死させるのである。

十百為群、皆噛殺無遺而後去、行走如飛。

十百群れを為し、みな噛殺して遺すなくして後去り、行走すること飛ぶが如し。

何十、何百匹で群れをなして行動し、(ニワトリやハトがいると)すべてかみ殺して持ち去って何ものも遺さない。移動するときのすばしこさはまるで飛んでいるかのようである。

しかも、

其気腥悪、狗噛之亦嘔吐竟日云。

その気腥悪にして、狗これを噛めばまた嘔吐すること竟日なりと云う。

体臭が臭くて、イタチを噛むとイヌは一日中嘔吐するということである。

このため、イヌをけしかけてもイヌは追おうとしないので、なかなか駆除できない。

ところで南の方に来まして、わたしの郷里の江南に来ますと、

江南山中多豪猪。

江南の山中には豪猪多し。

江南地方の山中には、剛毛の生えたイノシシが多い。

なんと、

似野豕而大、能与虎闘。

野豕に似て大、よく虎と闘う。

野生化したブタに似ているが、ずっと大きく、トラと闘うものいるのである。

其毛半白半黒、勁利如矢、能激以射人。

その毛は半ばは白く半ば黒く、勁利なること矢の如くして、よく激して以て人を射る。

そのイノシシの毛は半分白く、半分は黒いが、いずれもつよくて尖っているのは矢のようであり、怒るとこれを使ってニンゲンを刺すのだ。

おそろしいのですが、

人取以爲簪、云令髪不垢。

人取りて以て簪と為し、云うに髪をして垢せざらしむなり、と。

ニンゲンはこの毛を入手するとかんざしにする。このかんざしを挿してると、頭からフケが出ないらしいのである。

ブタにもこういう強健で清潔な仲間もいるのである。覚えておいていただきたい。

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明・謝肇淛「五雑組」巻九より。

一昨日、高速道路でブタ積トラックが事故を起こし、乗せられていたブタ数十匹が道路に飛び出して一時期交通が遮断された、というニュースがあり、

「いつもおいらたちをバカにしているからだ」

と励まされるキモチだったが、よく読むとこのブタたちは大阪の食肉加工場に運ばれる途中だったそうで、おいらたちの運命もそうなのだと思うと悲しくなってしまいましたでぶう。

 

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