おいらたちがあんまりオロカなので、闇の中で笑っているやつらがいるぜ。
今週終わったけど、また来週はじまるからなあ。うれしくないなあ。
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むかし、春秋の時代、斉の桓公は郊外に出かけて、亡国の故城(むかしの都市)を見かけた。
そこで、
問於野人、曰、是何墟。野人曰、是為郭氏之墟。
野人に問うて曰く、「これ、何の墟ぞ」と。野人曰く、「これ、郭氏の墟なり」と。
地元民をつかまえて質問した。
「ここはいったいなんの廃墟なのでちゅかな」
地元民は言った、
「ここは古代にこのあたりを支配していた郭氏の都市国家のあとでちゅじゃよ」
と。
「へー」
桓公はさらに質問しました。
郭氏者曷為墟。
郭氏はなにぞ墟と為れるや。
「その郭氏の都市はどうして廃墟になってちまったのでちゅかな。御存じなら教えてたもれちょんまげ」
地元民は答えた。
郭氏者善善而悪悪。
郭氏は善を善みし、悪を悪(にく)みたり。
「郭氏は善いことを善いこととし、悪いことを悪いこととしていたから、でちゅのじゃ」
「ええー!!!」
桓公はびっくりしました。
善善而悪悪、人之善行也。其所以為墟者、何也。
善を善みし悪を悪むは人の善行なり。その墟と為りし所以は何ぞや。
「善いことを善いこととし、悪いことを悪いことする、のは、ニンゲンとして正しいことではありませんか。それなのにどうちて廃墟になってちまったのか?教えてたもれちょんまげ」
「うっしっし」
地元民は笑って、言った。
善善而不能行、悪悪而不能去。是以爲墟也。
善を善みして行うあたわず、悪を悪みて去るあたわず。ここを以て墟と為れり。
「善いことを善いことしたのですが、だからといってそのことを実行できなかった。悪いことを悪いこととしたのですが、そのことを排除できなかった。このために、廃墟になってしまったのでちゅよ」
「なーるほど」
桓公は宮中に帰りまして、このことを宰相の管仲に話しました。
「ふーん」
と聞いていました管仲、聞き終わって、
其人為誰。
その人を誰とか為す。
「ところで、その話をしてくれたひとの名前はわかりまちゅかな?」
と質問した。
不知也。
知らざるなり。
「わかりませんよ」
管仲は首を横に振って、言った。
君亦一郭氏也。
君もまた一郭氏なり。
「そんなことでは、我が君もまた郭氏と同じではござりまちゅまいかな」
「えー!!!」
「善いことを聞いたのでちゅ。ならばどうしなければならなかったのでちゅかな?」
「なるほどでちょんまげ!」
桓公は何やら得心して、翌日また郊外に行き、昨日の地元民を探し出すと、
招野人而賞焉。
野人を招きて賞せり。
地元民を宮中に招いて、「よい話を聞かせてくれまちた」と褒章した。
このことが伝わると、
「斉の桓公というひとは、ひとから善言を聴きたがるおひとだそうでちゅよ」
と評判になり、あちこちから多くの賢者たちが斉に献策しに来るようになったのである。
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漢・劉向「新序」巻四・雑事より。
わーい、よかったでちゅねー。コドモ王国ばんざーい。
善(だと言われていること)を善みし、悪(だと言われていること)を悪んでわいわい言うのは楽ちいからね。今日は「内閣が行政に介入した」という発言を見てびっくりいたちまちた。コドモだからよくわかんないけど、行政権は内閣に属してはいけないんだっけ。もうおいらは昔習ったことだから現代は違うんでちたかね。