平成29年5月18日(木) 目次へ 前回に戻る
「撒く塩がもったいない」とまで酷評されるぶた力士だ。撒くぐらいなら家に持って帰って食塩として使うなど節約するべきであろう。
毎日体重増で困っています。ひとの〇倍ぐらいしか食べてないのに、なぜ体重が増えるのか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
春秋の斉国の宰相、賢者として名高い晏嬰は貧乏であったそうでです。その食い物は、
食脱粟之食、炙三弋、五卵苔菜耳矣。
脱粟の食(し)を食らい、三弋(よく)を炙り、五卵苔菜のみなり。
もみ殻を去っただけの玄米を食らい、弋で獲った鳥三羽に火を通したものと、あとはタマゴ五個とコケや野菜だけであった。
君主の斉公はあるとき晏嬰の家に行って晩飯を御馳走になったところ、やはりこのメニューであったので、
「ああ」
と嘆じて、言った。
夫子之家、如此其貧乎。而寡人不知、寡人之罪也。
夫子の家、かくのごとくそれ貧なるか。しかるに寡人知らず、寡人の罪なり。
「寡人」は諸侯の一人称。
「せんせいの家は、このように貧しかったのですか。そのことをわたくしは知らなかったとは・・・。わたくしがいけないのです(給料をアップします)。」
これを聞きまして、晏嬰は驚いたように言った。
以世之不足也。
世の足らざるを以てなり。
「(もしわたくしが貧しいとしたら、)世の中全体が貧しいからです」
そして、席を正して申し上げた。
脱粟之食飽士之一乞也。炙三弋士之二乞也。五卵士之三乞也。嬰、無倍人之行、而有参士之食。君之賜厚矣。嬰之家不貧。
脱粟の食(し)は士の一乞に飽けり。三弋を炙るは士の二乞なり。五卵は士の三乞になり。嬰は人に倍するの行無くして、しかして参士の食を有す。君の賜、厚きかな。嬰の家は貧ならざるなり。
「もみ殻を去っただけとはいえ、コメの量は十分に一般人の一食分を食っております。焼き鳥三本は一般人の二食目に当たりましょう。これに加えてタマゴを五個食うのですから、三食分です。わたくし晏嬰はいくら働いても、人の倍の活動量があるわけではございません。それなのに一般人三人分食っておるわけです。なんと君主の給料は高いことでございましょうか。晏嬰の家は十分にいきわたっております」
と。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「晏氏春秋」雑下より。斉の賢相・晏嬰は粗末な生活をしていた、ニンゲンは「必要なだけ+少々」の給料をもらえばいいのだ、という教訓なのですが、三人前食ってたら体重は増えて当たり前でしょう。特にタマゴ五個とか板東英二さんですかと思わされる。