春となれば、空飛ぶちょうもあるものを、モグはモグれて地の底を行く。
なんにも仕事はしてないが、疲れたなあ。
平日になるとどうしても心がねじねじと不健康に歪むのでございます。ということで、今日は久しぶりに不健康なお話をしましょう。
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明の時代のことでございますが、広州・高州府に標悍な少数民族である瑶族の集団が侵入し、掠奪をほしいままにしたことがございました。
時の府知事・劉海なる人物は、自らの住む城内に被害が及ぶことを恐れ、
民携家避賊者、海皆閉門不納。
民、家を携えて賊を避ける者、海みな閉門して納れず。
城外の人民たちが一家を挙げて略奪者たちから逃げて来ても、劉海は城門を閉ざして一人として入れさせなかった。
行き場を失った人民は瑶族のほしいままな殺戮を受けまして、あちこちで虐殺され、略奪者の引き上げた後、
城外積屍数里。
城外、屍を積むこと数里なり。
城門の外には、数キロメートルにわたって死体が累々と重なっていた。
というありさまでありました。
この死体、どの家も一家ごと全滅しましたものですから誰も取り片づける者も無く、、
犬食、皆肥腯。
犬食らい、みな肥腯(ひとん)せり。
犬どもが食い散らかしたので、このため犬どもはまるまると肥った。
「これはすばらしい置き土産ではないか」
海乃烹犬食之。
海すなわち犬を烹てこれを食らう。
劉海は犬を捕らえさせて、これを煮させて、毎晩食卓に載せた。
時にひとびと、歌いはやして曰く、
城里人食狗、城外狗食人。
城里にては人狗を食らい、城外にては狗人を食らう。
「城の中では人がイヌを食い、城の外ではイヌが人を食う」
と。
しかしながら、この知事こそは、実に人間のすがたをしたイヌであったのかもしれない。
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明・余継登「典故紀聞」巻十四より。いやいや、チャイナ的には至って健康的、「ふつう」のお話かもしれません。
それにしてもいよいよ明日あたり、はじまるのかなあ・・・。