いかに季節がよいからといって鐘の下に入って撞いてもらったりしてはならぬ!。
まだまだ夜は寒いですね。
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しかし、本日は清明節である。
まずは李太白の「山中問答」を読んでください。
問余何意棲碧山。 余に問う、「何の意ぞ、碧山に棲む」と。
笑而不答心自閑。 笑いて答えず、心おのずから閑なり。
桃花流水杳然去、 桃花流水杳然として去り、
別有天地非人間。 別に天地の人間(じんかん)にあらざるあり。
そのひとはわしに訊ねる、「どういうわけでこの緑の山の奥に住んでいるのかね」と。
うっしっし―――わしはにやにやするばかりで答えない。こころは自然とのどやかになる。
ご覧なさい。
桃の花びらが水に浮かび、はるかなかなたに流れ去っていく。
ここは桃源郷の近くなんです。
おまえさんたち世俗のひとびとの社会とは、違う世界がここにはあるんじゃよ。
すばらしい。
さて、李太白の状況ほどはすばらしくはないのですが、
家在桃花流水辺、 家は在り、桃花流水の辺り、
蕭々細雨昼催眠。 蕭々たる細雨、昼眠りを催す。
おいらの家は桃の花の流れる水のほとり(、世俗とはちょっと離れている)、
しおしおと、こぬか雨が降る昼日中、うとうとと眠らされておりました。
うとうととしているうちに、
「あ、いけね、もうこんな時間でちたか」
幾違南郭探春約、 ほとんど違わんとす、南郭に春を探るの約、
閑過清明前後天。 閑過す、清明前後の天。
南町に春の花を見に行こうという約束を破ってしまうところであった。
清明節の前後の日々は、こんなふうにしてのどやかに過ごしております。
うっしっしー。
おいらもそこそこいい暮らししているでちょ。
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青木雪斎「春雨」絶句(「明治二百五十家絶句」所収)。青木雪斎は名を晋といい、伊勢のひとだそうである。明治三十年前後の詩壇で活躍していた。