コドモや魚類は会社休めるからいいなー。
また調査に出ていた。忍びとしてのシゴトだ。明日からはまた表のシゴトに戻らねばならん。表の方はツラいからイヤなんです。何とかして休めないかなー。
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明の時代のこと。
湖州・京山県に蒋という家があって、そこの跡取り息子が家にいたとき、
忽被人引出門。
忽ち人に引かれて門を出づ。
突然、何モノかに引っ張られて、門の外に連れ出された。
そのモノは確かに彼を引っ張るのだが、その姿は見えなかったそうである。
門の外は、
「わーい、わーい」
「おいらたちコドモでちゅ〜」
「楽しく遊んでやりたい放題〜」
と何やら大騒ぎであった。
目を瞠ると、
見数百小児、著各色綵衣、瞥焉不見。
数百小児の各色の綵衣を著(つ)くるを見るも、瞥焉として見えず。
いろんな色に彩られた服を着た数百人のコドモがいるのが見えたが、一目ちらりと見えただけで、すぐ見えなくなってしまった。
「??????」
コドモたちが消えた後、かわりに
俄見地上挿数百小紅旗。旗上書天下大乱四字。
俄かに地上に数百の小紅旗の挿さるを見る。旗上に「天下大乱」の四字を書せり。
今度は地面に数百の小さな赤い旗がさしこまれているのが見えた。それらの旗には「天下大いに乱れん」の四字が書かれているのだ。
「わわわわわ、天下大乱だとお!」
蒋は大いに驚き、
俛首諦視之、乃冉冉映日而没。
首を俛(ふ)してこれを諦視するに、すなわち冉冉として日に映じて没す。
頭を下げて、(地面にさしこまれた)旗をじっと見つめていたところ、だんだんと日光を受けながら(地中に)消えて行った。
(本当にこの天下はこれから乱れ出すのだろうか)
あんまり口に出すと、謀反でもたくらんでいるのかと疑われるような話である。しかしさすがにおのれの胸の中だけにとどめておくことができず、親しい人たちにだけは自分の見たものを告げていたのであったが―――。
未幾、里中疫病流行。
いまだ幾ばくならずして、里中に疫病流行せり。
その後しばらくして、村中に疫病が流行しはじめた。
この疫病で、
蒋氏家口死者数十人。
蒋氏の家口、死者数十人なり。
蒋家の身内だけで数十人が死んだのである。
跡取り息子も死んでしまった。
方知是疫鬼所為。
まさに知る、これ疫鬼の為すところなるを。
これでようやくわかったのである。あのコドモと赤い旗は、疫病の精霊たちのしわざであったのだ、と。
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明・銭希言「獪園」第十五より。
わーいわーい、おそろしいですね、「疫鬼」の活動は。こちらも参照ください。→「黄文鬼」
そういえば最近我が国でもインフルエンザが流行っていたはずである。ふむ。背に腹は代えられん。インフルエンザと称して休む、という方法もあるかも知れんな・・・。