平成28年11月5日(土)  目次へ  前回に戻る

無駄遣いをしてもすぐに小遣いがもらえれば後悔して自己嫌悪することは無い。(ただし、カッパ社会はニンゲンの社会とちがって貨幣制度が無いので、小遣いは名誉的なものとされている)

今週は大阪に行こうと思っていたが、神田古本まつりのせいで倹約せねばならなくなり、大阪行きを断念。それで今日もまた古本まつりに行って、散財してしまった。なんという情けないことじゃ。

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衛の霊公(在位前534〜前492)は、他国にも聞こえた賢者・蘧伯玉(きょはくぎょく)を重用せず、おべっか使いと評判の彌子瑕(びしか)を気に入って、彼に権力を与えていた。

老大夫の史魚

「殿、なんという情けないことじゃ。ご先祖さまに申し訳が立ちませぬぞ。どうぞ、佞人を退け賢人をお用いくだされ」

驟諫不従。

驟(しばし)ば諫むれども従われず。

何度か御諫言申し上げたのだが、公はそれに従うことはなかった。

史魚はやがて病気になりました。

将卒、命其子。

まさに卒せんとして、その子に命ず。

死の直前に、子どもに対して遺命した。

吾在朝、不能進蘧伯玉、退彌子瑕。是不能正君也。

吾朝に在りて蘧伯玉を進め彌子瑕を退くるあたわず。これ君を正すあたわざるなり。

「わしは朝廷におりながら、賢者・蘧伯玉を用いさせることも、佞人・彌子瑕を退散させることもできなかった。これは主君を正しい方向に向けられなかったということである。

生不能正君、死無以成礼。我死汝置屍牗下。於我畢矣。

生きて君を正すあたわざれば、死して礼を成す無し。我死すれば汝しかばねを牗下に置け。我ここにおいて畢(おわ)らん。

生きている間に主君を正しい方向に向けられなかったのだ。こんなわしに礼の定めに基づいた葬儀などする必要はない。わしが死んだら、おまえはわしの死体を窓の外に置いてくれ。そうしてくれたらわしは安心して逝けるだろう」

「ちょうでちゅか。わかりまちたー」

史魚が亡くなると、その子は遺言どおりにした。

さて、霊公は史魚が亡くなったというので、その家にお弔いに来ました。

そこで亡骸が窓の外に放り出してあるのを見て、

怪而問之。

怪しみてこれを問う。

たいへん疑問に思って「どうしてこんなことをしたのじゃ?」と問いただした。

其子以其父言告公。

その子、その父の言を以て公に告ぐ。

その子は、おやじの遺言をそのまま公に伝えた。

「・・・生きて主君を正すことができなかったので、礼の定めに基づいた葬儀はしてくれるな、ということだったのでございまちゅ」

「なんと!」

公愕然失容、曰、是寡人之過也。史魚生時、恒進賢而退不肖。及其死又以屍諫、可謂至忠矣。

公、愕然として容を失い、曰く、「これ寡人の過ちなり。史魚生ける時、恒に賢を進め不肖を退く。その死に及びてまた屍を以て諫む、至忠と謂うべきなり」

「がーん!」

霊公は驚いて表情を失い、そしてしばらくして言った。

「これはわたし(「寡人」は諸侯の自称)のあやまちであった。・・・それにしても史魚は生きていたとき、いつも賢者を推薦しダメなやつを退けるように言ってくれていたが、死んだところで、今度は自らの死体の置き場所を利用して、諫言してくれたのだ。なんという忠義者であろう」

そして、まず直ちに史魚を自らの客卿(臣下ではなく客人としてもてなす顧問格のひと)として、公自ら殯(もがり)を執り行うことにし(実際にはその子に命じて正式の葬儀を執り行わせたのである)、次いで蘧伯玉を呼び出して上卿(筆頭大臣)に任命するとともに、彌子瑕の地位を下げて謹慎させたのであった。

この情報が魯の国にも伝わってきた。

孔子は、この話を聞いたときに、穏やかな様子で弟子たちにおっしゃった、

古之烈諫者死則已矣。未有若史魚、死而屍諫、忠感其君者也。可不謂直乎。

いにしえの烈諫する者も死すればすなわち已む。いまだ史魚のごとく、死して屍にて諫め、忠にしてその君を感ぜしむる者はあらざるなり。直と謂わざるべけんや。

「古来から激しい諫言をした者はたくさんいる。場合によっては諫言を遺して自殺した者もいる(これを「死諫」という)が、いずれにせよ死ねばその諫言は終わった。ところが史魚どのは死んだ後も「死体諫言」をして、そのまごころがついに主君を感動させ、その行為を換えさせたのであり、これまで例の無かったやり方である。なんというまっすぐな方であろうか」

と。

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「孔子家語」より(「蒙求」にも「史魚黜殯」(史魚の格下げ葬式)として所収)。昨日の金后稷の諫言と比べてみてください。

無駄遣いして自分がイヤになってきますが、おいらには史魚のように諫言してくるやつがいないので、その点は安心です。

さて、明日ももう一日休みなので地上世界で活動できるなあ。明日も今日のように晴れるといいなあ。

 

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