真夏が来ましたよー!ちんちん。
会社、ほんとにマズいことになっている。明日本社から呼び出しくらうかも。
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今日は八月朔日。「八朔」です。このころにはちょうど早稲が実り始めるので、「田の実」がある→「頼み」がある、ということから、恩義になったひとのところに贈り物を贈る風習がある、という。
八朔や朝日静かに稲の波 子規
とありますように、「八朔」は秋の季語ですから、今日は秋だ。
秋といいますと、
金風瑟瑟、紅葉蕭蕭。孤雁排雲、寒虫泣露、良用凄切。
金風瑟瑟とし、紅葉は蕭々たり。孤雁雲を排(わ)け、寒虫露に泣き、まことに用って凄切たり。
西の風がさやさやと。色づいた葉がハラハラと。群れから遅れた雁が、雲をおしわけるように南に行き、夏におくれた虫が、夜露に濡れながら啼いている。ほんとうに哀切きわまりない季節である。
中でも
可愛者、雲斂長空、水澄遠浦。
愛おしむべきは、雲の長空に斂(おさ)まり、水の遠浦に澄むなり。
しみじみといとおしみたくなるのは、高い空に雲がおとなしく収まり、遠い岸辺に水がきらきらと澄んでいること。
そして、夜になりますと、
一片冰輪、皓皓碧落間、令人爽然。
一片の冰輪、皓皓として碧落の間にありて、人をして爽然たらしむ。
ひとかけらの氷の輪(のような月かげ)が、しらじらと紺碧の夜空に輝いているのを見上げると、われらの胸にはさわやかな気分が満ちてくる。
まことに、
南楼清嘯、東籬暢飲、亦幽人行楽時也。
南楼の清嘯、東籬の暢飲、また幽人行楽の時なり。
南のたかどのですがすがしい口笛を吹くとか、東のまがきのところで菊の花を見ながらのんびり飲酒するとか、われら世捨て人の楽しく過ごす季節でもある。
世捨て人の季節なのですなあ。
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闕名氏「閑賞」より「秋」(明・衛冰編「枕中秘」所収」。
―――そうか、もう秋かあ。
としみじみしておりますと、そこへ付け髭をつけたコドモ賢者さまがやってきた。
「肝冷斎ちゃん、ちょっと待ってくだちゃいな。「八朔」は旧暦の八月一日。今年(平成28年)はちょうど陽暦の九月一日が陰暦の八月一日に該当します。なので「八朔」は季語として秋なのですが、太陽暦の八月一日の季節感とはまったく違います。まだまだ暑い夏が続き、からだの弱い肝冷斎ちゃんは夏バテに苦しまねばなりませんよ」
「うわーい、そうだったんですかあ。これは大間違い。わっはっは」
「うっしっし。まあ読者のみなちゃんは、上記の清々しい秋の描写を読んでいっときの涼を得ていただければいいのではないでちょうかね」
「そうですなあ、わっはっは・・・」
ああ、だが、季節の取違えは笑ってすむかも知れぬが、今回のシゴトの失敗は取り返しがつかないらしいのである。