イヌは封建道徳が得意だワン。
えーと、今日何曜日だっけ・・・?
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五代のころ、南唐国の江州の地に陳氏という一族が住んでいたが、この一族は
十世同堂、宗族共七百口。
十世堂を同じくし、宗族七百口を共にせり。
十親等の親類が(食事などを行う)正堂を一か所にして集まっており、一族の者あわせて700人が生計を同じうしていた。
この家には、
不置奴婢、凡有事務皆是少壮者服労供役使。
奴婢を置かず、およそ事務有ればみなこれ少壮者労に服し、役使に供す。
下男下女は雇われておらず、シゴトがあればすべて一族の中の若い者が使われ、労働力を提供するのであった。
労働力も共有されていたのですな。
彼らは毎日、メシの時間になると、
於堂上設広席、以次列坐而共食之。
堂上に広席を設け、次を以て列坐して共にこれを食らうなり。
正堂に大きなムシロを広げ、そこに序列に応じて順序よく並んで座り、一緒にメシを食うのである。
「えー? いっしょに食うんですか? なんと不道徳な!」
おっと、すみません、説明が足りませんでした。もちろん、
男子会食於一堂、婦人亦会食於一堂、男女未冠笄者別席、各有条規。
男子は一堂に会食し、婦人また一堂に会食し、男女いまだ冠笄せざる者は席を別にし、おのおの条規有り。
男衆は男衆用の食堂に集まってメシを食う。女性は別の食堂に集まって食う。男・女の、まだカンムリやカンザシをつけていないコドモたちはまた別のむしろに座り、それぞれの会食にはそれぞれのルールが設けられているのであった。
という道徳的なやつです。安心していただけましたでしょうか。
さて、この陳家には、
有畜犬百余。
畜犬百余あり。
百匹以上のイヌを飼っていた。
このイヌたちも、
共一牢食。
ともに一牢食す。
一緒に集まってエサの肉を食べることになっていた。
そして、
一犬不至、諸犬為之不食。
一犬至らざれば、諸犬これがために食らわず。
仲間のイヌが一匹でも集まっていないときには、イヌたちはそいつを待って、エサを食べようとしなかったのである。
わーい、わんちゃんたちまで仲良しなのだなあ。
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封建時代にはこういう形で労働力と生産物を提供しあうのが有利だったのでしょう。安全面でも。
さて、今週はすごく働いて労働力を適当に提供した・・・つもりなのに、まだ火曜日。あと三日も提供するのムリ。誰か代わって。(TT)