好き放題食べているひともいるというのに・・・。
食べ物減らしているのに体重増。血圧も上昇。もうやっていけない感じがさらに強まってまいりました。
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食べ物のことはいろいろ難しいんです。
これも名高い話でございますが、戦国の孟嘗君(←さすが一発変換)といえば「食客三千人」で有名な方ですが、ある日、
孟嘗君会待客夜食、有一人蔽火光。
孟嘗君、かつて客を待して夜食するに、一人の火光を蔽わるるあり。
孟嘗君が食客たちを接待して一緒に晩飯を食ったとき、その中に一人、灯火の光が行きわたらず、このため自分の手元の御膳が見えなくなってしまったひとがいた。
この人
怒以飯不等、輟食辞去。
怒りて、以て飯等しからずとし、食を輟(や)めて辞去せんとす。
突然怒り出した。そして、
「わしの食い物だけほかのひとと違うのだろう、だから見えないようにしているのだ! こんなところには居られん!」
と言い出して、食事を止めて席を立とうとした。
これはヘンなひとです。
これを聞いた孟嘗君は、
起自持其飯、比之。
起ちて自らその飯を持してこれに比す。
立ち上がって、みずからの手で自分の御膳を持ってきて、その人の御膳と比べた。
不異。
異ならず。
内容はまったく違わなかった。
「なんだ、同じですなあ」
「ああそうですなあ」
「わっはっはっは」
「いっひっひっひ」
と和やかにいけばよかったのですが、
客慙自剄。
客、慙(は)じて自ら剄(けい)せり。
その人は、申し訳なく思って、自らの首を切って死んでしまったのであった。
このことが広く知られると、
士以此多帰孟嘗君。
士、ここを以て多く孟嘗君に帰す。
天下の有為の士たちは、このことに感動して、我も我もと孟嘗君のところに集まってきたのであった。
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食べ物が違うと言って怒り、同じだったからといって自分の首を刎ねてしまうのです。食べ物のことは難しいのですなあ。
「史記」巻七十五「孟嘗君列伝」より。話がオモシロい、といいますか客人の行動が意表をついて印象的だからでしょう、「蒙求」巻下にも「田文比飯」(田文飯を比ぶ)(※「田文」は孟嘗君の姓名)として引かれ、人口に膾炙する故事成語となっているのでございます。