昼間はいい天気だったんですが。
夜は雷雨になりました。でも明日になったら普通の天気になってまた出勤か。しごとさぼったら同僚から怨まれるだろうなあ・・・。
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春秋の昔、楚の國でのことでございます。
狐丘丈人謂孫叔敖曰、人有三怨、子之知乎。
狐丘丈人、孫叔敖に謂いて曰く、「人に三怨有り、子これを知るか」。
「丈人」というのは「長老」とか「村長」をいうらしいのですが、ここではコドモ賢者であることにします。
狐丘先生というコドモ賢者が、孫叔敖(そんしゅく・ごう)に言いました。
「これこれ、「人間には三つの怨まれごとがある」といわれるが、おまえさんはこのことを知っていまちゅかな?」
孫叔敖曰、何謂也。
孫叔敖曰く、「何の謂いぞや」。
孫叔敖は答えた。「(知りません。)どういうことでございましょうか」
狐丘先生はツケヒゲをひねりながら言いました。
爵高者、人嫉之。官大者、主悪之。禄厚者、怨逮之。
爵高き者は人これを嫉む。官大なる者は主これを悪(にく)む。禄厚き者は怨みこれに逮(およ)ぶ。
「身分の高い者は、ひとびとに嫉妬されまちゅ。これが一つめの怨まれごと。役職の権限が大きい者は、主君からにくまれまちゅ。これが二つめの怨まれごと。給料の多い者はいろんなひとから怨まれまっちゅ。これが三つめの怨まれごと」
「はあ、なるほど」
孫叔敖は答えて言った、
「では、
吾爵益高、吾志益下。吾官益大、吾心益小。吾禄益厚、吾施益博。
吾が爵ますます高くして吾が志ますます下らん。吾が官ますます大にして吾が心ますます小ならん。吾が禄ますます厚くして吾が施しますます博からん。
わたしは、身分が高くなればなるほど、気位は低くしていこうと思います。権限が大きくなればなるほど、気遣いはこまめにしていこうと思います。給料が多くなればなるほど、多くのひとにほどこしをしていきたいと思います。
以是免于三怨、可乎。
是を以て三怨に免ること、可ならんか。
これで、三つの怨まれごとを免れることができませんでしょうか」
狐丘先生はツケヒゲをひねりまして、
「うーん、それならよろちいでちゅぞ」
とうなづいたのであった。
孫叔敖は後、楚の令尹(宰相)となり、楚の荘王(在位前613〜前591)を支えて覇者たらしめたひとであります。→こちらを参照すればえらいひとであったことがわかっていただけるのでは?
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「列子」説符篇より。えらいひとでも怨まれるのですから、えらくないひとはもっと怨まれる?