こんなに祈り続けているのに・・・
どうしてまた月曜日が来るのだろうか。
とりあえず今日は月曜日が来ることを忘れて生きていくしかないのだ・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・
いろんなこと忘れて生きていくとどうなるのか。
魯の哀公、孔子に問うて曰く、
寡人聞、忘之甚者、徙而忘其妻。有諸。
寡人聞く、忘るるの甚だしき者、徙(うつ)りてその妻を忘る、と。これ有りや。
「わたしはこんなことを耳にした。忘れっぽいのがひどくて、転居のときにもとの家に女房を忘れてきたやつがいた、とか。そんなことホントにあるのかのう?」
それは忘れたのではなくて逃げ出しただけ、のような気もしますが、しかしいずれにせよこんなこと訊かれても訊かれた方が困りますよ。
と思ったのですが、さすがは孔子さま、こんな質問にもお答えになります。
此猶未甚者也。甚者乃忘其身。
これなおいまだ甚だしき者にはあらざるなり。甚だしき者はすなわちその身を忘る。
「そんなのはまだまだ大したことはございませんなあ。ほんとに忘れっぽいひとは、自分の身体・生命さえ忘れてしまうのですからなあ」
「なんと、まだ上がおるのか」
哀公はたいへん興味をお持ちになられたようでございます。
可得而聞乎。
得て聞くべきか。
「そいつのこと、教えてくれんかのう」
そこで孔子が答えて言う、
―――むかし、夏王朝に桀王という方がおられました。この方、
身為天子、富有四海、忘其聖祖之道、壊其典法、廃其世祀、荒于淫楽、耽湎于酒。
身は天子たりて富は四海を有し、その聖祖の道を忘れ、その典法を壊し、その世祀を廃し、淫楽に荒さみ、酒に耽湎(たんめん)す。
ご自身は天子さまでございます。その財産は世界そのものでございます。ところが聖なるご先祖(夏の禹王のこと)の勤勉倹約の道を忘れ、古来より伝わってきた法典の決まりを破り、代々の御先祖のお祀りをせず、みだらな楽しみに耽り、酒におぼれてしまったのございます。
こうなりますと、
佞臣諂諛、窺導其心、忠士折口、逃罪不言。
佞臣諂諛し、その心を窺い導き、忠士は口を折り、罪を逃れて言わず。
へつらいびとどもが阿諛追従してその心の望むところを察知して好き放題に導き、まごころある者たちは口を閉ざして、罰せられるのをいやがって諫言しなくなった。
こうして国はどんどん乱れ、やがて天下のひとびとは、ついに叛乱を起こし、
誅桀而有其国。此謂忘其身之甚矣。
桀を誅してその国を有(たも)つ。これ謂わゆる、その身を忘るることの甚だしきなり。
桀王をぶっ殺して自分たちの国を保ったのである。この桀王こそ、自分の身体・生命まで忘れてしまったすごい忘れっぽい方、でございます。
桀王のようになってはいけません。
・・・・・・・・・・・・・・
やっぱり予想どおり説教になりましたね。「孔子家語」巻三より。