もう週末終わり。明日からまた平日。
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三国を統一した晋帝国でありましたが、内乱に乗じて異民族が侵入し、愍帝の建興四年(316)には跡形も無く崩壊してしまった。このとき皇族の一人・司馬睿が江南に即位(元帝という)して亡命政権を建てたのが東晋であります。
その元帝の晩年、永昌元年(322)のこと。
東晋軍閥の一人・甘卓は、別の軍閥の総帥である王敦を討滅せんとした。
しかしいろいろ事情がありまして、
既而中止。
既にして中止せり。
攻撃計画を中止せざるを得なくなった。
ところが、
及還家多変怪。
還家に及んで変怪多し。
本拠地に戻ると、不思議な現象が次々と起こった。
甘卓は
「気にしているから、おかしなことが起こったように思えるだけじゃ」
と意に介さなかったが、ある日、
照鏡不見其頭。
鏡に照らすに、その頭を見ず。
鏡をのぞきこんだところ、自分の首から上が映らなかった。
「ど、どういうことだ、あわわわ、クビが飛ぶのかあ?」
と驚き怪しんでなにごとも手に着かなくなってしまった。
やがて前線から使いが来て、
為王敦所襲。
王敦の襲うところと為れり。
「お、王敦さまが攻めてまいりまいしたあ!」
と知らせがありましたが、子どものように怯えおののくばかりで何の手を打つこともできず、
遂夷滅。
遂に夷滅せり。
とうとう一族皆殺しになってしまった。
のでございました。
また、ずっと後の時代のことでございますが、東晋の滅亡近い安帝の義熙年間(405〜418)に東陽太守となった殷仲文も、ある日、
照鏡不見其頭。
鏡に照らすにその頭を見ず。
鏡をのぞきこんだところ、首から上が映らなかった。
「ど、どういうことだ、あわわわ、クビがとぶのかあ?」
彼もまた直後に、劉裕らにたばかられて害せられたのであった。参照→「晋書」より「仲文照鏡」
ということで、
【結論】鏡に頭が映らないときは気をつけましょう。
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唐・陸(りくくん)「集異志」巻一より。
わはは、鏡に頭だけ映らないなんて、そんなバカげたことがあるものか。昔のひとはこんなことを信じていたんですかね。さて、ヒゲでも剃ってくるかな・・・。
・・・「ど、どういうことだ、あわわ。明日のしごとでいよいよクビがとぶのかあ?」
と怯えるぐらい明日コワい。