ゴシキの短冊に何を書けばよいのか。
「わたくしども肝冷斎族は、不安にさいなまれながらおろおろと生きていくばかりですから、「カッコとした自分を持って強く生きていく勇気が欲しい」と書くべきではないでしょうか」
と提案してみたが、一族の長老は
「肝冷斎族にはそんなもの要らんのじゃ!」
と取り合わないのである。
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晋の永嘉年間(307〜313)のこと。
朱彦というひと、荒れた屋敷を借りた。住んでしばらくすると、家の中で夜な夜な
聞管弦之声、及小児啼呼之音。
管弦の声と小児の啼き呼ばうの音を聞けり。
琴や笛を鳴らす音や赤ん坊の泣き声が聞こえてくるのであった。
「うわ〜ん」
「コワいよう」
と家人らは怖がったが、朱彦は特に気にもかけなかった。
ある晩、深夜に、庭で
見一人身甚壮、大呼殺其犬。
一人の身甚だ壮なる、「その犬を殺さん」と大いに呼ばうを見る。
巨大なからだのひとが、「この家のイヌを殺してやる!」と叫ぶのを、みな見、聞いた。
「うひゃ〜」
「もうおしまいだよ〜」
いよいよ怖ろしいことが起こるかと思って家人らは恐れおののいたが、朱彦は平気であった。
この巨人の出現が最後で、
亦無後患。
また後患無し。
それ以降、特に変わったことは起こらなかった。
イヌもずっと元気であった。
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南朝宋・劉敬叔「異苑」巻六より。
やっぱり、カッコとした信念を持った強いひとは勝ち残るのですよ。
「我が肝冷斎族にもこの力を!」
・・・と思いましたが、ムリだから止めておきます。なおタナバタとはいえ新暦なので世の中あまりタナバタでは盛り上がっていないみたい(→例えば)なのでタナバタねたはまた今度。