平成26年6月3日(火)  目次へ  前回に戻る

←ネコに小判、ブタに芸術。益無くして身を害す。

二日も続けて出勤。年よりにはつらいですじゃ。

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銭翼之さんから聞いたことなのですが、

銭塘人李氏過崐山、見奇石取之。

銭塘のひと李氏、崐山を過(よ)ぎるに、奇石を見てこれを取る。

銭塘のひと、李某は、江蘇の名山・崐山を通ったときに、不思議なかたちの石を見つけて、これを拾った。

「なかなかすばらしい」

と李某はにやにや。

同行の童子もこれを見て、

「かっこいいでちゅねー」

とにこにこ。

李某曰く、

欲種菖蒲。

菖蒲を種えんと欲す。

「わしはこの石にアヤメを配して盆栽にしようかと思うのだが」

童子曰く、

恐傷其峯。

その峯を傷めんことを恐る。

「盆栽にすると石の突端を傷つけてちまいませんかね」

「うーん、それも一理あるかなあ」

とにかくこの石を大切に持ち帰ろう、というので、

置之衣笥中、至王登舟。

これを衣笥中に置き、王に至りて舟に登る。

これを衣装箱の中にそっと入れ、荷物が重くなったので、二人は王というところから舟に乗ることにした。

「では荷物を積み込みやす」

「おい、その衣裳箱は大切に扱ってくれよ」

と言われながら船員たちが衣装箱を持ち上げると、非常に重い。

舟人疑其重以為載宝。

舟人その重きを疑いて、以て宝を載すと為せり。

船員たちは、衣装箱なのに異常に重いので、どうやらここには宝物が入っているのではないか、と疑った。

「ほう、これはこれは・・・」

船員たちはお互いに、陰険な視線を合わせて目配せしあったのであった。

そして夜になると―――

俟其熟寐、斧殺之。併其童死焉。

その熟寐を俟ちてこれを斧殺せり。あわせてその童死す。

李某たちがぶうすかと熟睡するのを待って、斧で頭を叩き割って殺してしまった。同時に童子も殺されたのである。

それから衣装箱を開けてみたが、ヘンテコな形の石が入っていただけだったので、石も二人の遺体も江に投げ込んでしまった―――ということだ。

このように、

無益害身、知命者宜戒。

益無くして身を害す、知命者よろしく戒むべきなり。

何の利益も無いことをしようとして甚大な被害を受けることがこの世にはあるものである。運命について知る賢者は、よくよくこのことを以て自らを戒めねばなるまい。

なのじゃ。

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勉強になります。元・吾衍「闍序^」より。世の中にはこのような思いもしなかったワザワイがあちこちで待ち受けているものなので、わしは世の中にいるのはもうイヤ。イヤじゃイヤじゃイヤなのじゃ〜。

 

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