まるで幻術のように移動して、今日はあたたかいところに来ました。
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明の時代のこと―――。
おやじが晋王府に勤めていた四五十年ほど昔、晋王のところには、よく「幻術士」たちが出入りしていたそうだ。
或飲醋数升。
あるいは醋、数升を飲む。
ある術士は、酢を数升のんでも平気であった。(←これは幻術なのか?ただの飲食の量の多いひとなのでは・・・)
或裸体仰臥以巨石圧胸。
あるいは裸体仰臥して巨石を以て胸を圧す。
ある術士は裸になって仰向けに寝、その胸に巨大な石を載せても平気であった。
或焼石為秤錘通紅、而銜之。
あるいは石を焼きて秤錘を通紅ならしめて、これを銜らう。
ある術士は焼いた石でハカリの錘(おもり)を真っ赤になるまで熱して、それを呑みこんでも平気であった。
みなワクワクするようなすごいことである。
しかし、これらはいわば人に見せるための術である。そのころは実生活で若い女や子どもも頻繁に幻術を使っていたのだそうだ。
例えば・・・・
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続きは明日(以降)。明・祝允明「志怪録」より。