今日は立派な施設をえらいひとと一緒に見学。職人さんのしごとぶりはすばらしいですね。こういうのが何百年も残るといいのだがなあ・・・。
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成化乙未年(1475)の春のこと。
ある晩、呉の地方で、地が大いに震えることがあった。
旦視之、遍地皆生白毛。
旦、これを視るに、遍地みな白毛を生ず。
あくる朝、地面には一面に白い毛が生えていた。
その毛は、
正類猫鬚、長数寸。
まさしく猫の鬚に類し、長さ数寸なり。
ネコのおひげにそっくりでちて、長さ6〜9センチぐらいでちたぁ。
このヒゲはおかしなことに、
風過冉冉而動。
風過ぐるに冉々(ぜんぜん)として動く。
風が吹くと、じわじわと移動するのであった。
どういう災害の前触れかとおとなたちは怖れたが、コドモたちは吹いたり扇いだりして毛が動くのを見てたいへんおもしろがった。
しかし、
両日忽無有。
両日たちまち有る無し。
二日ほどで突然見えなくなってしまった。
地に吸い込まれたのか、風に飛ばされたのか、誰も知らない。
―――うそだ、と思いますか?
確かに国家の記録には残っていないのだが、
余家収得幾茎。歴久不変、今尚存焉。
余家幾茎かを収得す。歴久変ぜず、今なお存す。
わしの家には、御先祖さまが毛を何本か採集して当時の簡単な書付けとともに保存しておいてくれた実物が、今も遺っているのである。百年以上経っているが少しも変化していない。
ただ、結局何の前兆であったかはわからずじまいであったという。
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明・祝允明「志怪録」より。御先祖さまがネコのひげを切ってきて残しておいただけかも知れませんが、こんなモノでも成化から萬暦まで百年以上残ったというのです。すばらしいモノはもっと長く残したいですよね。(もちろん頭の毛も)