今日は満月でしたね。しかし寒く、空気は密度が高まったかと思うほど張りつめて「固かった」。鼻血でそう。
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明の正統七年(1442)のことだそうですが、程信と白圭という二人の若者が科挙試験を受けるために都に赴いたのだそうでございます。
都に着いて、とある宿に泊まった。
すると、深夜、
う―――――むむ――――う――――むむ―――――
と、鐘を撞いたときのようなくぐもった金属音が鳴り響いた。
其家忽鍋鳴。
その家、たちまち鍋鳴る。
その家中のナベが、鳴り始めたのである。
二人は驚いて起き出し、
「こ、この家ではいつもこうなのですか」
と訊ねたが、宿の人たちは口ぐちに
「いや、そんなことはございません」
「はじめてのことだ」
「あなたがたお二人がお見えになったから鳴り始めたのではないか・・・」
と言う。
二人はあまりの騒がしさに居たたまれなくなり、宿から逃げ出したが、
鍋声甚轟数里而止。
鍋声甚だしく、数里に轟きて止む。
ナベの音はさらに騒がしく鳴り、二人が1〜2キロ(一里=400mで計算)離れてようやく収まった。
音が収まったと思って宿に帰ってみると、また鳴り出すので、宿でも嫌がり、仕方なく二人は郊外の寺院に部屋を借りて住むしかなかった。
この歳の試験で二人はともに高い席次で合格し、後に二人は相次いで大司馬(元帥)にまでなったのである。
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明・施顕卿「奇聞類紀摘抄」巻二より(「近峯聞略」なる書に出づるという)。
気温や空気密度、金属の縮拡などの偶然が重なると、時おり「釜鳴り現象」という不思議な現象が起こるらしいのですが、ナベ鳴り現象はあまり聞きません。同類だとしても男友だち二人なら少なくともカマの方では? ・・・などあまりに不思議な現象なので疑問は尽きませんね。
なお、今日は都内某所で岡本〇勝氏を発見。