今日はいろいろ調査(フィールドワーク)忙しかった。ので七絶を一つご紹介して寝ます。
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春風五十又三年、 春風、五十また三年、
前夢難尋跡若烟。 前夢尋ね難くして跡は烟のごとし。
偶把旧詩燈下検、 たまたま旧詩を把りて燈下に検すれば、
都優老後苦心篇。 すべて優(まさ)る、老後の苦心の篇に。
わたくしが春風に吹かれるのも五十と三回目。
むかしの夢(のような思い出)はもう思い出すのさえ難しく、けむりのように痕跡もない。
たまたま昔書いた詩を発見したので、ともしびの下で読み返してみたが、
どの作品もどの作品も年老いてから苦心して作っている作品よりもずっと出来がよいのだ・・・。
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本朝・永井荷風「辛未歳春日書懐」(辛未の歳(昭和六(1931)年、春の日に懐(おも)いを書す)です(「断腸亭日乗」昭和六年より)。さすがに荷風散人はおやじの禾原はプロの漢詩人だし本人も半ばプロですから、うまいですね。
肝冷斎もちょうど若いころ暮らした地にてのフィールドワーク中であり、昔年を思い出しては感傷しきり(懐かしいけど恥かしいことばかり。○にたい・・・)でございます。(なお、最近「観光」といわずに「フィールドワーク」ということにしていまちゅの)
その肝冷斎が過去の5年ぐらい前の日録読んでるだけでも、
「ああ、むかしの日録の方がいいの出来てたなあ・・・」
と嘆かざるを得ないぐらいですから、一代の文宗・荷風散人が在仏時代の詩なんか読み返してみたりしたら、もっと深く、深く深く海よりも深く、若くして才能と夢の溢れていた自分への愛惜に耽られて当然でございましょう。
まあいいや。わしはもう老い過ぎた。会社も辞めたし、心置きなくこれから最後の御奉公じゃ。まずはやつを・・・。