しごとつらいのさー。塗り固めたウソがそろそろバレそう・・・。
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さて、紀元前の戦国の時代のことでございますよ。
荘子が弟子の童子を連れて山の中を歩いておりますと、でかい木の前に出た。
枝葉盛茂、伐木者止其旁而不取也。
枝葉盛んに茂り、伐木するもの、そのかたわらに止まりて取らざるなり。
枝も葉も盛んに茂っているのだが、木こりはその木のかたわらにじっとしているばかりで伐ろうとはしないのである。
「なぜこの木を伐ろうとしないのかね」
と訊ねますと、木こりは言うた、
無所可用。
用いるべきところ無し。
「使えるところが無いのでっさあ」
おお。
荘子は言うた。
此木以不材得終其天年。
この木は不材を以てその天年を終うるを得るなり。
「この木は使えるところが無い、という理由で、人によって伐られることなく、天から与えられた寿命を全うすることができるのだなあ」
荘子はそれから山から下りてまいりまして、知り合いの家に宿泊した。
知り合いは荘子が来たのを喜び、息子に飼っている雁(野がも)を殺して荘子のために煮るように命じた。
息子、命じられて訊ねた、
其一能鳴、其一不能鳴、請奚殺。
その一はよく鳴き、その一は鳴くあたわず、請う、いずれを殺さん。
「一羽はいい声で鳴くのでしゅう。もう一羽はあまり鳴きませんのでしゅう。どちらを殺しましゅる?」
主人曰く、
殺不能鳴者。
鳴くあたわざるものを殺せ。
「あまり鳴かない方を殺すことにしよう」
「あい。・・・殺していいのね、うふふふ」
というわけで、荘子は野がもを煮た御馳走を食べさせてもらうことができた。
翌日、その家を出た後で、童子が荘子に問うた。
「ねーねー、昨日の山中の木は使えるところが無いから長生きできまちたのに、あの家の野がもは能力の無い方が殺されまちた。
先生将何処。
先生、まさにいずれに処すか。
先生は、能力の有ると無いと、どちらの道をとるべきだと思いまちゅか?」
荘子笑曰、周将処乎材与不材之間。
荘子笑いて曰く、「周はまさに材と不材の間に処せん」。
荘子は笑いながらおっしゃった。
「周(←荘子の名前)は、能力の有ると無いと、その中間をとることにしよう」
「はあ? そんな程度?」
「いや、待てよ」
荘子は考え込みはじめました。
「待ってくださいよ・・・、
材与不材之間、似之而非也、故未免乎累。
材と不材の間、これに似て非なり、故にいまだ累を免れず。
能力の有ると無いの中間というのがいいような気がしたが、ちょっと違うなあ。そこだとまだ完全にはやられることが無い、とは言い切れないもんなあ。
そうだなあ・・・(以下略)」
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「荘子」山木篇より。この後の荘子のコトバ、気になりますか? 「気になってしかたがない、どうしても」と言うなら、明日ご紹介・・・いや、でも明日は東京からエライひとが来て、緊張の宴席がございますので、明日は無理かも。その前にウソがバレて「自ら裁せよ」と言われて吊ってしまっているかも・・・。
どれを殺ちまちょうかね、やっぱりチロいのかな。うふふふ・・・。