いろいろ思うところもあり、死にざまにつきまして。
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@ 元の名儒・許魯斎先生、病の革まり、危篤に陥っても、
猶正衣冠而坐。
なお衣冠を正して坐す。
なおも正装し、冠をかぶって座っておられた。
門人が進み出て申し上げるに、
先生視稍偏矣。
先生、視ることやや偏なり。
「先生、視線が少しかたよっておられます」
先生はもう答える力も無かったが、それでも
更粛容端視。
さらに容を粛にし、視を端にす。
さらにいっそうかおつきを厳粛にし、視線をまっすぐにされた。
頃之微瞑遂逝。
頃之にして微瞑しついに逝けり。
しばらくすると、まぶたが落ち、わずかに目を瞑ったかに見えたが、そのときにはもうこときれておられた。
A 明の大儒・陳白沙先生、ついに亡くなった。
遺族や弟子がそのなきがらの前で哀悼の意を尽くしたが、その間ずっと
頂出白気勃勃如蒸。
頂より白気の勃勃として蒸の如きを出だす。
頭のてっぺんから、白い蒸気のようなガスがびゅうびゅうと噴き出していた。
すごい精気が入っていたのである。
竟日乃息。
竟日すなわち息(や)む。
まる一日経ってようやく噴き出さなくなった。
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「元明事類鈔」巻二十五より。
どちらもかっこいい。@は人事を尽くしたのであり、Aは天命を俟ったのである。
しびれる。憧れる。ようし、わしもがんばって死ぬぞー! ・・・という気になりますよねー。