平成24年4月23日(月)  目次へ  前回に戻る

 

食べ物を粗末にしてはいけません。

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むかし、王羆というひとが、家老(「台使」)に食事の用意を命じた。

家老は食べ物を用意し、

乃裂去餅縁於地。

すなわち餅の縁を裂きて地に去る。

当然のように、餅(ぴん)のふちを削り取って地面に落とした。

「餅」(ぴん)は、小麦の粉を捏ねて作った食物で、うどん類や、あるいは中に何かを詰めたまんじゅう・ぎょうざのようなものを指す。その縁を裂く、というのは、パンの耳を切り落とすという行為をイメージすればよかろうか。

それはじっと見ていた王羆、いよいよ料理が自分の前に並べられるや―――

突然、たいへん大きな声で、告げた。

「おお。

耕種収穫、其功已深、舂爨造成、用力不少。爾之選択、当是未飢。

耕種して収穫す、その功すでに深きに、舂爨して造成す、力を用うること少なからず。爾、これ選択す、まさにこれいまだ飢えざるなるべし。

地を耕し種を植えて、ようやく(ムギを)収穫することができる。そのはたらきはすでにたいへんなことだ。そのあと、さらに今度は搗いて粉にし、さらにこれを捏ね、熱を加えて料理したのである。どれほどの労働力がこれにかけられていることであろうか。

それをお前はいま、一部を棄ててしまったのだからなあ。それは(お前に料理を頼んだこのわしが)まだ腹が減っていない、ということなのだろうなあ」

そして、

命左右撤去之。

左右に命じてこれを撤去せしむ。

近侍の者たちに命じて、並べられた料理を片付けさせてしまった。

・・・家老は大いに反省したということである。

ああ、

委棄五穀、神明最悪、況已作食、尤当珍惜。

五穀を委棄するは神明の最も悪(にく)むところ、いわんやすでに食と作(な)すは、尤もまさに珍惜すべきなり。

五つの食用穀物を利用せずにダメにしてしまうのは、精霊たちがたいへん嫌がる行為である。特に加工して食べ物にまでしたものは、最も大切にしなければならないものなのである。

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と思って、今日も食べすぎた。

昨日と同じく、「不下帯編」巻二より。ちなみに明日も休むよ。

 

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