平成24年3月28日(水)  目次へ  前回に戻る

 

まだ水曜日か・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・

明の時代、杭州の祥符禅院にて新しく仏像を製作した。

色塗りを終えてこれから供養の日取りを決めようというときに、僧の一人が不思議なものを発見した。

仏像の

足底生蕈。

足底に蕈を生ず。

足の下の真ん中のところからキノコが生えていたのだ。

やがてこのキノコが日を追うて成長し、

上分二茎、斉曲仰承二足、其端如掌大、色間黄白。

上は二茎に分じ、斉しく曲がりて仰いで二足を承け、その端は掌の如く大いにして、色は黄白に間す。

上端が二本に分かれて、両方とも同じように曲がって仏像の両足の下に延び、まるで両足がキノコの傘を踏み台にしているように見えた。キノコの傘の大きさはちょうど手のひらぐらいで、色は白色がかった黄色――黄金と白銀の混ざりもののような色合い――であった。

寺では

発生之巧、渾然天成。

発生の巧みなること、渾然として天成せり。

このキノコの生まれながらの見事な生長ぶりをご覧あれ。すべてまったくの自然発生である。

と喧伝したので、

「ありがたや、ありがたや」

と杭州中の人民が争ってお参りしたのであった。

これを当時の県令・郝淵さまのお耳にもお入れした者があった。

郝公はこのことを聞くとたいへん苦々しそうなお顔をなされ、

「人民をたぶらかすわざである」

召責其僧。

その僧を召して責む。

禅院の僧を呼び出して、詰問した。

人民どもははじめ僧に同情していたが、しばらくすると、

蕈遂枯死。

蕈、ついに枯死せり。

キノコはとうとう枯死してしまった。

ので、人民たちは郝公の先見の明を称賛したのであった。

・・・・・・・・・・・・・・・・

明・朗瑛「七修類稿」巻四十八より。

くだらん。けしからん。

 

表紙へ  次へ