2月2日になりましたな。寒いので南国の話にて暖まりましょう。
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南方には鳥が多い。温帯ではあまり見ない珍しい鳥も多いのでございます。
例えば、鸚鵡という鳥がおります。
鸚鵡、近海郡尤多。
鸚鵡は、近海の郡にもっとも多し。
オウムは桂州(広西)の海に近い地方に最も多くいる。
広西の人民たちは、
以鸚鵡為鮓。
鸚鵡を以て鮓と為す。
オウムは、なれずしにする。
もちろん食べるのである。
「オウムをスシにするんですか!」(なお、「鮓」は、その類似品である江戸前の早鮓のことではなく、ちゃんと半年とか一年、発酵したコメなどと熟れさせたスシのことだ。念のため)
というぐらいで驚いていてはいけません。
又以孔雀為腊。
また孔雀を以て腊と為す。
また、クジャクは乾し肉にする。
のです。
皆以其易得故也。
みなその得やすきを以てのゆえなり。
どちらも、たいへん入手しやすいからである。
ところでまた、次のような鳥もいる。
如鸚鵡、紺黒色、丹咮黄距。目下連頂有深黄文。頂毛有縫、如人分髪。
鸚鵡の如く、紺黒色、丹咮にして黄距なり。目下より頂に連なりて深黄の文あり。頂毛に縫ありて、人の髪を分くるが如し。
オウムに似て、体は黒に近い紺色、くちばし赤く、足が黄色。目の下から頭頂部にかけてあざやかな黄色の模様がある。頭頂部には別れ目があって、まるで人が髪を分けているようである。
この鳥は、
能人言、比鸚鵡尤慧。
よく人言し、鸚鵡に比して尤も慧なり。
ひとの言葉を話すことができ、オウムに比べてずっと上手である。
大抵鸚鵡如児女、此声則如丈夫。
大抵鸚鵡は児女の如きも、これは声すなわち丈夫の如きなり。
だいたい、オウムは女子供のようなきいきい声だが、この鳥はオトナのオトコの声で話すのだ。
邑州の溪谷で採れるが、唐の時代には林邑(すなわち今(※)の占城)で多く捕れたという。
※「今」=宋の時代です。「今の占城」=現代のヴィエトナムの中南部。
―――さあて、問題でちゅー!
この鳥は何という鳥でちょうか? おとなはみんなわかるでしょねー。けど、子どもはわからないかも。
@ 秦吉了(しんきつりょう)
A 九官鳥(きゅうかんちょう)
B さるか
答えは・・・・・・・・・・→こちら
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南宋の石湖先生・范成大「桂海虞衡志」より。若いもんに夜中まで働かせてわしはこんなこと勉強していたのか、と思うと今夜も自分がイヤになってきますわ。