平成24年2月2日(木)  目次へ  前回に戻る

 

2月2日になりましたな。寒いので南国の話にて暖まりましょう。

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南方には鳥が多い。温帯ではあまり見ない珍しい鳥も多いのでございます。

例えば、鸚鵡という鳥がおります。

鸚鵡、近海郡尤多。

鸚鵡は、近海の郡にもっとも多し。

オウムは桂州(広西)の海に近い地方に最も多くいる。

広西の人民たちは、

以鸚鵡為鮓。

鸚鵡を以て鮓と為す。

オウムは、なれずしにする。

もちろん食べるのである。

「オウムをスシにするんですか!」(なお、「鮓」は、その類似品である江戸前の早鮓のことではなく、ちゃんと半年とか一年、発酵したコメなどと熟れさせたスシのことだ。念のため)

というぐらいで驚いていてはいけません。

又以孔雀為腊。

また孔雀を以て腊と為す。

また、クジャクは乾し肉にする。

のです。

皆以其易得故也。

みなその得やすきを以てのゆえなり。

どちらも、たいへん入手しやすいからである。

ところでまた、次のような鳥もいる。

如鸚鵡、紺黒色、丹咮黄距。目下連頂有深黄文。頂毛有縫、如人分髪。

鸚鵡の如く、紺黒色、丹咮にして黄距なり。目下より頂に連なりて深黄の文あり。頂毛に縫ありて、人の髪を分くるが如し。

オウムに似て、体は黒に近い紺色、くちばし赤く、足が黄色。目の下から頭頂部にかけてあざやかな黄色の模様がある。頭頂部には別れ目があって、まるで人が髪を分けているようである。

この鳥は、

能人言、比鸚鵡尤慧。

よく人言し、鸚鵡に比して尤も慧なり。

ひとの言葉を話すことができ、オウムに比べてずっと上手である。

大抵鸚鵡如児女、此声則如丈夫。

大抵鸚鵡は児女の如きも、これは声すなわち丈夫の如きなり。

だいたい、オウムは女子供のようなきいきい声だが、この鳥はオトナのオトコの声で話すのだ。

邑州の溪谷で採れるが、唐の時代には林邑(すなわち今(※)の占城)で多く捕れたという。

※「今」=宋の時代です。「今の占城」=現代のヴィエトナムの中南部。

―――さあて、問題でちゅー!

この鳥は何という鳥でちょうか? おとなはみんなわかるでしょねー。けど、子どもはわからないかも。

@   秦吉了(しんきつりょう)

A   九官鳥(きゅうかんちょう)

B   さるか

答えは・・・・・・・・・・→こちら

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南宋の石湖先生・范成大「桂海虞衡志」より。若いもんに夜中まで働かせてわしはこんなこと勉強していたのか、と思うと今夜も自分がイヤになってきますわ。

 

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