あと一日・・・。
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さて、読者諸兄におかれては
骨咄犀
というモノを知っておられますかな?
そのまま読めば、「こつとつさい」。
この「犀」は、「サイ」というドウブツではなく、「サイ」というドウブツの「ツノ」のようなモノ、というぐらいの意味でして、
骨咄犀、蛇角也。
骨咄犀は蛇角なり。
「こつとつさい」というのは、ヘビの角である。
なるほど。角のあるヘビの角なのです。
このヘビの角は、
其性至毒。
その性至って毒なり。
たいへんな毒性を持っておる。
しかし、一方で、
能解毒。蓋以毒攻毒也。
よく毒を解く。けだし、毒を以て毒を攻むるなり。
解毒剤にもなるのである。つまり、毒を以て毒を制す、というわけだ。
そこで、わたくし思うに、「こつとつさい」とは、
蠱毒犀(こどくさい)
すなわち「ヘビ毒によるすごいきつい毒の角」というのが本義ではなかろうか。
・・・と思ったのですが、「唐書」を繰るに、いにしえ
古都國(こと・こく)
という國があったよし。
されば、このヘビの角は、その地の名産だったのではなかろうか。
すなわち、もとは
古都犀(ことさい)
だったのだろう。
今人訛為骨咄耳。
今人訛して骨咄と為すのみ。
今のひとが言葉をあやまって、「こつとつ」と読んでしまっているだけでありましょう。
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ほんとかどうか知りません。しかし、本当に毒を以て毒を制することができるんですね。「南村輟耕録」巻二十九より。
なお、「唐書にいう古都國」というのは、今確認できないが、かえって「新唐書」西域伝下(巻221下)に、
骨咄或曰珂咄羅。
骨咄、あるいは珂咄羅という。
「こつとつ」國は、あるいは「かとつら」ともいう。
という國が西域、カシミールの先にあって、良馬と赤豹を産すると記されているから、「骨咄」そのものが國名なので、わざわざ「古都國」の転訛だという必要はないのである。南村老人はおバカちゃんですね。御参考まで。