〽にんにきにきにき、にんにきにきにき、ににんがじんにく。
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「南村輟耕録」を読む。巻九「想肉」条。―――天下に兵乱のことが盛んになったころ(元末の混乱時のことである)、淮右の軍閥は
嗜食人。以小児為上、婦女次之、男子又次之。
人を嗜食す。小児を以て上と為し、婦女これに次ぎ、男子またこれに次ぐ。
ニンゲンを喜んで食った。子どもが一番上等で、おんながこれに次ぎ、おとこはその下であった。
そして、いろいろ料理に仕方が書いてある。
(子どもがマネするといけませんのでこれ以上は書きません。詳しいことは口頭でご説明するので、どうしてもお聞きになりたい人は、御名乗り出ください。肝冷斎のホームパーティに今度お招きいたしましょう。自慢の愛妻料理に舌鼓を打ちながら、語り合いましょう。え? 愛妻が作る料理か? いや、あなたの愛妻を・・・ひっひっひ、ひいっひっひっひっひっひ・・・)
彼らはニンゲンの肉を「想肉」と言うた。何故とならば
以為食之而使人想之也。
これを食らえば、人をしてこれを想わしむるがためを以てなり。
それを食うとき、食うひとにいろんなことを考えさせるからである。
云々。
それから、このHPでも数年来ご紹介してきているような史上の人肉嗜好のひとたちについて列挙している。
唐の朱粲、薛震、李廓の捕らえた火光賊、張茂昭、五代の萇従簡、趙思綰、高澧、金の狄乱華、宋の王継勲、林千之・・・・。(それぞれどんなことしたかについては、「食人列伝」を作って整理しようと思っておりますが、それを待てぬ、という方は、肝冷斎のホームパーティにどうぞ。奥様同伴で・・・。ひいっひっひっひっひっひ・・・)
ああ。
人の肉を食らう。人もまたその人に肉を食らう。これは兵乱の時節に起こる凄惨な事件だ。まともな人間はそれを聞くことを好まぬ。しかし、
当天下宴安之日、而身為顕宦、豈珍羞美膳足以厭其口腹。顧乃喜啖人肉。
天下宴安の日に当たり、しかも身は顕宦たりて、あに珍羞美膳の以てその口腹を厭わするに足らんや。顧みて、すなわち人肉を啖らうを喜ぶ。
天下が平和な時代に、しかも高位高官の身分で、珍しい食べもの・美味なる料理を腹いっぱい食べられないことなど無い状態なのに、それらよりもニンゲンの肉を食う方を喜んだひとたちなのだ。
これは人に類するといえども人の本質を持たぬ者たちである。ついには天の報いを受けざるを得ないであろう。
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ああ。
やっぱりこのたぐいの話は面白いなあ。なるほどなあ、「それを食うひとにいろんなことを考えさせる」から「想肉」か。その発想は無かったわ。それにしてもなんでこんなにこの手の話を面白い、インタレスティングに感じてしまうのでしょうか。漢文ばっかり読んでるから頭が大陸的になってしまったのでしょうか。
いや、季節が悪いのだ。ムシムシと暑いのでこんなの読んでにやにやしてしまうのだ。早く涼しくなってマジメに戻り、仏頂面して四書五経を講じる生活を送りたいものである。うちの学校の夏休みって長すぎるんだよね。