今日もわたしは療養中をいいことに、天上界に来ておって、昼間は極楽サウナでうはうはは、ナイターを見て、帰りに高級クラブでうははははー、だ。神宮球場はしごとより大切なヤクルト=広島戦ですからね。まさか仕事を理由にサボるわけにはいきません。さてさて、天上界から玻璃のガラス越しに地上を見下ろすと・・・ああ、働いている。みなさん大変そうですなあ。
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康熙二十四年(1685)、七月三日。
江寧の北河口で
有龍従空挂下。
龍の空より挂下するあり。
龍が、空から何物かにぶらさがって降りてきたことがあった。
龍は頭を下にして広い江の水面めがけて下ってきたのである。
その間、あたり一面には雲と霧が濃く垂れこめ、江の流れは一段と激しく動き、波湧き騒いだ。
「おい、あれを見ろ・・・」
と岸に立つひとびとが指さす中、龍は、
吸去大船一、小船二。
大船一、小船二を吸去せり。
大きな船一隻、小舟を二艘、吸い上げたのだ。船はたちまち空中に見えなくなってしまった。
「ああ」
「なんという・・・」
ひとびとは絶句した―――と、
俄、自天半堕地、断為両截。
俄に、天より半ば地に堕(お)ち、断じて両截となる。
突然、龍は体の真ん中のところで真っ二つに断裂し、半分が江の水面上に落ちてしまった。
ちゃんちゃん。
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「三岡識略」巻九補遺より。そのあとの記述がありませんので、真っ二つになった龍の半分がどうなったか、三艘の船がどこに行ってしまったのか、につきましては不明です。(科学的には竜巻現象で説明できると思うのですが・・・)
わたしも天上界で楽しく過ごしております。地上で働いている職場のみなさんも吸い上げてやるか、うはうははー・・・と高笑いしすぎて半分に切れてしまわないようにしたいと思います。そしてみなさんのお越しをお待ちしております。