平成22年6月19日(土) 目次へ 前回に戻る
←こいつも死体にたかるムシ。
広西の南の果てあたりに
唼腊虫(そうせきちゅう)
という虫がおりましてな。そのまま訳せば「腐肉を啜るムシ」という名前ですな。
この虫、
食死人尸。
死人の尸(しかばね)を食らう。
ひとの死体にたかってこれを食う。
不可駆逐。
駆逐すべからず。
追い払っても追い払っても集まってきて食らうのである。
このため、新たに葬儀を行う者は親族のしかばねを守るため、豹を捕らえなければならない。
けだし、
以豹皮覆之、則畏而不来。
豹皮を以てこれを覆わばすなわち畏れて来たらざるなり。
豹の皮で死体を包んでおくと、この虫は豹を恐れるので近寄ってこないのである。
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元・賈銘「飲食須知」巻八より。この書は「飲み食いするに当たって知っておくべきこと」について記載したグルメ用のマニュアル本です。なんでこの本にこんなことが書いてあるのか、考えると「にやにや」してきませんか? わたしだけかな?
ちなみにこの虫は本当に豹を恐れるのか。
ほんとかどうか知りませんので実験してみたくなってきますが、毎日蒸し暑いので、夜中に墓地で実験用の新しい死体を掘り出すのも疲れる。暑いので棺桶の中の新仏も一晩二晩で腐敗して、持ち上げたときにずるずると肉が剥げ、その中からぼろぼろとウジムシくんたちがこぼれ落ちるのを拾って墓穴に放り込みなおすのもめんどくさい。ので、また涼しくなってからにします。ひっひっひ。